小説2

□再会2
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「ここって・・・」

総合病院の休日出入り口で認証を行う百田氏の横でれにが呟く。

「ねえ?川上さんどっか悪いの?」

「もしかして・・・ながくないとか?」

「えっ! 大丈夫なの?」

心配する4人に百田氏は呆れた顔で言葉を返す。

「実は・・・こないだちょっとした腫瘍が発見されまして、3日前から入院してるんですけど・・それが、手術をすれば完治するってドクターも言ってるんですが信じないんですよ。どうせ長くないなら延命しないで楽になりたいとか言っちゃって・・・」

「え? 本当に治るの? 」

「はい ひと昔前なら分かりませんが、今はかなりの確率で治ります。でも川上さんは信じないんですよ。みんなで嘘を言ってるとか思ってて・・・だから手術はしないって・・」

百田氏はそのあとの言葉を飲み込んだ。口癖のように言っているセリフ。
《あいつらのとこへ行くんなら・・》


「あー はいはい なんか想像つくわー」

「確かに! 変に頑固なとこ全然変わってないよね・・・」

「じゃあ 夏菜とれにちゃんで説得してみなよ。」

「うんうん 二人の言うことなら聞くかもね」

「分かったー けど、今日ここに高木達来るって知ってんの?」

「いや、言ってないです。私以上に驚くと思いますよ」

「えっ それって めっちゃめちゃ楽しみなんだけど」

「「たしかにー」」




7階でエレベーターを降り、4人は男性の後をついて進んでいく。さすがに病室の廊下では会話こそ抑えてはいるが、4人のテンションはかなり高くなっている。特に彩夏にうでを絡めて歩くれには、数歩ごとに彩夏の顔を覗き込み満面の笑顔を向けていた。
奥詰まった場所にある、ちょっと高そうな感じの病室の前まで来ると、百田氏はドアを軽くノックをする。乾いた音が静まり返った通路に心地よく響く。

「百田かー 入れよ」

受付時の面会者承認機能で百田氏の来院は知っていたのだろう。病室から聞こえる野太い返事を受け、百田氏がドアを開けると4人は我先にと室内になだれ込む。
来客用のソファーに遮られ歩みを止めると、ベットの上でPCを操作している川上氏と目が合う

「「「かわk・・」」
川「おう!よく来たな 思ったより早かったじゃないか。 まぁ、そこ座れよ」


「「「「え??」」」
夏「ちょっと・・・・えっ?川上さん?」

川「ん?どうした?」

れ「え?なんで?なんか反応おかしくない?」

夏「いや 絶対おかしいでしょ!」

詩「そうだよ!なんで驚かないの?早かったって?」

彩「いや、川上さん私たちのことは知ってんだよ」

詩「あっ そうか!それは知ってるんだ。だからうちら聞きにきたんだもんね」

れ「でもさ、一言目が『おう!』ってなんか冷たくない?」

夏「ほんと でもそーゆーとこ昔から変わってないじゃん」

詩「なんか外見もあまり変わってなくない?」

れ「たしかにー けど、坊主頭が白坊主になってるー あっはははは・・」

詩「だから、れにちゃんはなにげに失礼だから・・・」

彩「えっと〜 え〜どうしよ、何から話す?」

れ「えっと〜  実は私達こないだ・・・・」

詩「えっ?いきなりそれ言っちゃう?」

彩「ていうかさー 一応私たちって川上さんには初めて会ったっていうていだよね」

夏「あ!!そうじゃん!」

詩「確かに〜 そうだよね」

れ「じゃあ まずは〜れにれに体操第一からいっちゃう?」

彩・夏「「なんでだよ!」」
詩「自己紹介とかの問題じゃないから」


4人がソファーの後ろでわちゃわちゃしてるあいだに川上氏はベットから降り頭を下げる。


川「あの時・・・・・・お前たちを守ってやれなくて 本当にすまなかった・・・」


4人にとっては数日前の記憶でも、事実は18年も前の出来事。しかし川上氏もまた昨日のことのように鮮明に思い出していた。
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