Release from the darkness

□Complication
1ページ/7ページ



いつからこんなにも、嫉妬するようになったのだろう





目が覚めたら、隣にホメロスがいた


「んー……??」

「起きたか。身体は辛くないか?」

「うん…」


ああ、こんなに優しいのにね


昨晩はどうしたんだろうね


「ホメロスの言う通りだ…」

「何が?」

「朝が来たら、気持ちも落ち着くって」


ホメロスは、フと笑った


「……落ち着きましたか」


変に違和感を感じるのは、きっと敬語になったから


「ね、ホメロス。あの、昨日の夜…」

「……忘れてください。」

「ほえ?」

「忘れてください。では」


ホメロスはそう言って有無を言わさず私の部屋から出ていった


「ホメロス……??」


どうしちゃったんだろう


私、怒らせちゃったのかな??








ああ、イライラする


何かが俺をイライラさせる


そこにあった壁を力任せに殴る


通りすがりのメイドが驚いて飛び上がった


すまない、と一言だけ返しておく


何にこんなにイラつくのかがわからない


彼女の呆然とした顔が、頭から離れない


「最低だな……」


グレイグに任せた方がいいか


そこまで考えたところで、ズキっと頭が痛んだ


いや待て。それではまたアイツは俺より先に……


そんな声が、聞こえた気がした


「くそ……!」


もう1度壁を殴っても、気持ちが収まらない


イライラが募っていくばかり


「チッ……!」


とりあえず自室に戻り仕事でもしよう


今は考えないようにするしかない


ホメロスは歩みを早めて自分の部屋へ向かった







「いい天気だ…」


昨日の雨は嘘のように、空は晴れ渡り街はいつもの賑わいを見せていた


私は窓辺の椅子に腰掛けて、そんな城下を見つめる


「ホメロス……なんで怒ったんだろ」


子供すぎて呆れられたのかなあ

何が子供で、何が大人なのか

私にはわからないから、どうしようもないね


「にゃあ?」

「大丈夫だよ。ありがとう」


そばに来てくれた白猫を膝へと抱き抱える


「ねえ、お前はどう思う?ホメロス何で怒ったのかな??」


白猫は何も答えないが、悲しい目をしていた


「そうだよね。仲直り、した方がいいよね…」


でも、何もわからない

微かに残る唇の感覚が、忘れられない

ふと、指をやってしまう


「ホメロス……」


ねえ、どうしてこんなに君のことばかり


私の頭はもう、ホメロスの事でいっぱいになっている


嫌われたくは、無い


だってずっと、貴方だけが私のそばにいてくれた


貴方に捨てられたら、私は何処へも行けない


「嫌だよ……」


そんなの、いやだ


ぽたりと、白猫の上に涙が落ちた


白猫は、にゃあと寂しげに鳴いた


その頭を撫でて、これ以上零れないように、空を見上げる


唇は自然と言葉を紡いでいた


ずっと耀いてる 誰かに伝えてる

新しい世界への物語

Shining blue

果てない空は

飛べない私に語りかける

いつだって何度でも、やり直そう、と








次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ