*DREAM KNIGHT*

□第1話 なくす
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ここは世界中の人間の夢を守る"守護
の塔"、塔には世界中の人間の夢へと介入できるユメカギという鍵が保管されている。


「ねぇ、最近の担当子供の夢ばっかりなんだけど。頭おかしくなりそうだよ…!ねぇ、シゲどうにかして!」

「仕方ないだろ、俺なんておっさんばっかりだぞ。」

「手越は大人なお姉さんがいいかもしれないけど、そういう部類って結構疲れるんじゃない?その年代が多いのはまっすーかな。」

「おれ?でもげんなりするよ、ほんとに。綺麗な人かと思ったら、とんでもないモノ頭に住んでたりするんだもん。おれは子供の方が純粋でいいなぁ。」


塔には4人の守り人が住んでいる
もちろん、人間の世界とはかけ離れた異世界の存在。

今日も4人は自分たちの仕事話に花を咲かせていた。

「子供って結構キラキラしててファンタジーな夢とか見てるんじゃない?俺が飛ぶ夢とかは多いよ。たのしいじゃん!」

「けーちゃんは分かってないなぁ!あんまりキラキラしたのばっかり見てると、頭こんがらがってきてクラクラするんだよ。」

手越の愚痴に飽きたのか、増田はそそくさと塔の最上階にある自室へと帰ってしまった。
加藤はドアの点検をしてくるといって、こちらも早々に退出済み。


さて、どうしよう。このまま落ち込んだ手越を放って置くわけにはいかないし…
でも仕事はまだ沢山あるし…

「けーちゃんもう飛ばなきゃでしょ?」

手越が困ったような顔でこちらを窺ってくる。
うるうるした瞳で俺を見て、頼み事すれば許してくれると思ってるこの男は世の中では所詮"あざとい"という部類に入るのだろうか。




ビーーッ


塔の中に鳴り響く爆音、介入警報だ。

これは人間の夢と俺らの世界を繋ぐドアから何かが侵入、あるいはなにか不具合があった時に知らせてくれるもの。

毎回音が大きすぎてちょっとびっくりしちゃうのはここだけの秘密ね



「あ、警報だ。どこのドアだろ…」

いきなり鳴り響いた警報に身じろぎもせず、スっと目を細めて様子をうかがう手越。


ただの不具合ならそれでよし、ただ何者かが侵入した、コチラの世界のものが向こうへ飛ばされた、となれば話はまた変わってくるのだ。

「久しぶりだね警報、俺びびってアクセサリー落っことしちゃった。」

「あ、まっすー。相変わらず階段降りるのはや!!」

「俺もちょっとビビった!
けーちゃんドア確認してきてよ!そいで、シゲと合流して!俺らテゴマスで塔の中と倉庫、確認してくるから!」

「あ、そうだシゲ。ドアのとこにいるよね!
なんかいじっちゃったのかな…了解!」


手越の的確な指示で警報の処理に向かう、何もなければいいんだけどなぁ…と端末を持ちながらドアのある中腹部へ下る。階段は螺旋状になっていて、先があまり見えないのが難点だ…。


前が開け、ドアのある薄暗い部屋に着く。いつもなら俺ら誰かが来ると灯りがつくはずなのに、ピクリとも灯らない照明に首を傾げる。

「あれ…電気壊れちゃったかな。シゲちゃーん!!!!いる!?あれ…」

俺が扱えるのは水、火だったら良かったんだけどなぁ…とブツブツ言いながらも、非常用のランプを持ち、加藤を探しながらドアを確認する。

ドアは部屋の中央に向かい合うように並んでいる。それぞれドアの色が決まっていて、小山は紫、増田は黄色、手越は桃色、加藤は緑だ。

時計回りに、ドアの開閉、ノブの歪み、鍵穴の不具合を確認していく。

「うん、俺も手越も問題ないなぁ。
それにしても…シゲちゃーん!マジでいないの!?俺ほんっと怖いんだけど…」

加藤の影を探しながらも、ビクビクしながら歩を進めていく。

びちゃ…


増田のドアから離れようとした時、なにか液体を踏みつける音がした。

「ひえぇホンットに誰か!まっすー…!
てかシゲちゃんなんでいないの!!!!」

液体の正体も分からず、加藤のドアの前に立ちノブを触った瞬間。

ドロッ…


「えっ…なに…」









照らし出された緑のドアは、黒く染まり。どこか不気味な姿になっている。



そこに加藤の姿はなかった

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