テニプリU

□屋上にて
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『…若くん。練習サボってこんな事してていいの?』

「妬かせるような事ばっかりする貴女が悪いです。」

『し、してないよ。だから離して?』

「俺が嫌ですか。」

『若くんが嫌なんじゃなくて…。』

「なら、問題ないですよね。」

『ちょ、ちょっと…。』


ユエは日吉に屋上に呼び出され、挨拶もそこそこに気付けば押し倒されていた。幸い、日吉のカバンがユエの頭の位置にあり、痛み等は特にないようだが。


『若くん…此処、学校よ。放課後で誰も来ないと分かってても…恥ずかしいよ。』

「俺、貴女に何言われてもやめる気ありませんから。」

『…なら、せめていつもみたいに名前を呼んで。』


可愛いという言葉をぐっとおさえる日吉。


「…ユエさん。」

『うん…若くん。』


それを合図に、2人は唇を合わせる。最初の2,3回は角度を変えつつの触れるぐらいのキスだったが、次第に互いを求め合い舌を絡め合う。お互いの唇が離れる時、ユエは息切れをしていた。


「(キスしてる時に鼻呼吸すると、息が荒いみたいで嫌って言ってたっけか。)」

『…はぁ…はぁ……若…くん…。』

「…実は俺、一つ謝りたい事があるんですけどいいですか?」

『…謝り…たいこと…?』


なんでも許す、そう言う目をしている気がした。


「別に俺、そんな妬いてないです。そう言えば貴女…ユエさんが俺の相手をしてくれると思ったから言っただけなんです。」

『…なんだ、それだけ…?』


だんだん息切れからも復活し、ユエはまた笑顔をみせ、緩く日吉を抱き締める。


『…じゃあ、私こそごめんね。若くんは寂しいって素直に言えない人なのに私の気が回らなくて。』

「そこまで世話やかないでいいです。というか、寂しいとも思った事ありませんよ。」

『寂しくなきゃ、突然屋上に呼び出してこんな事しないでしょ。』

「…はあ。」


日吉もユエのすぐ横に寝転がり、少し強く抱き締める。


「…ユエさんは何処まで俺を見透かすんですか?」

『若くんが今一番に思ってる事は、ムカつくって事ぐらいまでかな。』

「…本当にムカつく人です。」

『ふふ。…若くん。』

「なんですか。」

『私はね、若くんが思ってるよりは若くんの事好きよ。』

「ふん。」

『此処でキス以上の事、するつもりなかったでしょ?』

「当然でしょう。…俺、今日持ってきてませんし。」

『ふふ、やっぱり。』

「…ムカつくのでもう少し相手してもらいますよ。」

『うん、喜んで。』


そう言うと2人はまた唇を重ねた。


その頃、ユエのカバンには跡部からのメッセが届いていた。


『“跡部くん、今日若くん少し借りてもいいかな。”』

景「“なんでだ?”」既読

『“若くんが私に会いたがってて。でもきっと若くん自分のプライドが邪魔して言えないから、私が若くんを借りるって事にしたいの。”』

景「“なんだそれ。ま、大会も近くにある訳じゃねーし別にいいぞ。”」既読

『“ありがとう。跡部くん、良かったら私が若くんを借りたって事以外聞かなかった事にしてくれる?”』

景「“ま、今度部員の為に菓子折りでも持ってくるんだな。”」既読

『“分かった。じゃあ屋上にいるから本当にもしもの時があったら来てね。”』

景「“はいはい。”」既読

景「“部活終わったぞ、お前らまだ居んのか?”」


跡部は樺地を呼ばず屋上へ単身で向かう。そこには見える位置ですやすやと眠るユエと日吉。


景「馬鹿。万が一にも教師に見つかったらどうすんだ。それに風邪引くぞ。」


跡部は屋上の扉を開け、自分のジャージを2人にかけると、屋上の扉を閉めさっていった。


『……?』


その直後にユエは目覚める。


『(氷帝のジャージ……名前が…跡部くんだ。見られたのは少し恥ずかしいけど、跡部くん優しいなぁ。)』


日吉に見られない内に丁寧にたたみ、自分のカバンの中へいれる。そして日吉をゆする。


『若くん、若くん。』

「…?」

『気付いたら寝ちゃったね。』

「…そうですね。」


眠たそうに目をこすりながら起き上がる日吉。


「…部活も終わりの時間ですね。帰りますか。」

『うん。今日は有意義な時間だったね。』

「ですね。」


屋上の扉に手をかけ、屋上から出て扉を出た瞬間、日吉はユエを抱き寄せる。


『…!若くん?』

「此処を降りたらもう、出来ないと思っただけです。」


そう言い、ユエから離れ階段を下っていく。


『ふふ。』


ユエは微笑み、日吉の後を追いかけた。









おまけ
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