スマブラ

□バレンタイン
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『クーレイジー!』

「…ユエ。」


ユエはニコニコと笑いながら綺麗に包装された袋を持ってクレイジーに近付いた。


『今日は何の日でしょうか!』

「あ?今日?」


クレイジーはカレンダーを見る。日付は2月14日だった。


「(バレンタインデーだったか。)」


ユエはクレイジーの答えをワクワクと待っていた。


「(…ちゃんと答えた方がユエは喜ぶか?)」

『クレイジー、分かんない?』

「(…いや、とぼけた方が喜びそうだな。)あー、分かんねぇな。」

『仕事にクソ真面目なクレイジーは分からないって言うと思った!』

「待て、誰にそんな言葉遣い教わった?」


ユエに過保護なクレイジーはユエの教育が悪いと許せない。


『マリオがクソ真面目だって。』

「…ユエ、その言葉は二度と使うな。」

『ごめんなさい。』

「分かったならいい。良い子だ。」


クレイジーはうんうんと頷いた。


『そうだ、クレイジー。今日はね、バレンタインデーだよ!』

「あー…好きな奴にチョコをあげるっつー?家族みたいに接してる俺にチョコでもくれんのか?」

『えっ…う、うん。』

「…?それとも、なんだ。マスターか誰かに代わりに渡して欲しいっつー奴か?」

『うん…。』

「(おい…なんで元気なくなってんだよ…。)」


ユエはだんだんと顔が沈んでいく。


「おい?」

『あ…なに?』

「バレンタインデーだからどうしたんだよ。」

『………。』


ユエは先ほどからもじもじとしている。


「…あー…もしかして、俺に本命か?なんてな。」

『…!!ち、違う!』


というと、ユエは顔を真っ赤にしているが、クレイジーは何かがドスっと何かが刺さる音がした。


『…あ…違くなくて…その…。』

「なんでも聞いてやるぞ。さっさと話せ。」

『あのね…!クレイジー…!』

「おう。」

『私クレイジーの事が…大好き…!!あの、これ、その…さっき違うって言ったけど、本命チョコだから!』

「…本気か?」

『本気じゃなくて、本命!』

「は、はは…。」


クレイジーは片手で自分の目を覆い、笑い始める。


「あー…ユエ。あー……その、返事は来月がいいか?」

『えっ!?今がいい!』

「そうか。正直俺は…ユエは恋人としてはマスターの方が好きだと思っていたんだが。」

『マスターはいつも遊んでくれるお兄ちゃん!私、クレイジーのお嫁さんになりたいの!』

「よ、め……。ユエが、俺の…?」

『お願いします!』


ユエはぺこりと頭を下げる。


「俺でいい、のか。」

『クレイジーがいい!!』

「………は、はは…喜んでって言やいいのか?」

『うん!クレイジー、大好き!』

「ああ……俺もずっと好きだったんだ。そう、俺はずっと…お前はマスターが好きだと思ってて…俺がユエの良い兄になってやるって思ってたん…だが…。」

『私が好きなのはずっとクレイジーだよ。』


クレイジーはユエを抱き寄せる。


『わっ!吃驚した!』

「ああ…ずっとこうしたかった。…ずっと俺の側にいてくれ。」

『えへへ…クレイジーって恋人に甘えるタイプなんだね。恋人じゃなきゃ知れない一面を知れて嬉しい。』


ユエはクレイジーを抱きしめ返す。


「ずっと大切にしてやるよ…ユエ。」

『うん!ずっとお願いします!』









 

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