Already.

□Already
1ページ/1ページ

翌朝。

ホテルの部屋から出たところで、ミノヤとテミナに出くわした。
「あ、ヒョンおはよ」
「うん」
…昨日あれからミノヤに怒られなかっただろうか。
何か問い詰められたりはしなかっただろうか。
ちらりとテミナの方を見ると、その視線に気づいたテミナは、目を細めてにっこりと笑った。
「ヒョン、昨日はちゃんと寝れた?仕事あんまり根詰めたらだめだよ」
本当にいつも通りに、何も変わらない空気で俺に問いかけた。
…たったそれだけで、いとも簡単に俺の体は軽くなっていく。
自分を取り囲む物事にひどく敏感な俺は、度々その重圧に疲弊して心を閉ざしてしまいそうになる。
それでもテミナの声を、表情を、かおりを感じるだけで、水中で錘を外されたように、一気にふわりと軽くなるのだ。

俺が俺であるために、君が君でいてくれたら。

「ねぇミノヒョン、ジョンヒョニヒョンがやっと僕に曲くれたんだよ」
「そうなの?ついに出来上がったの?」
「でもねなかなかくれなくて、最初俺が歌うとか言い出して〜ひどくない?」
「我ながら良いものができたんだよ」
他愛ない話をしていると、向こうからキボマとジンギヒョンが歩いてくる。
「おはよ〜」
「リハ何時から?」
「マネヒョンに確認しなきゃ」

いつもの、日常。
俺が居るべき場所。
ヒョンや弟たちがいて、君がいて、俺がいて。
その毎日が続いていくんだろう。

俺は今まで通りに、何もなかったように、過ごしていけるだろう。
手を伸ばせばそのかおりを感じられるところに、君がいてくれたら。
これからも君が真っ直ぐに光り輝く未来を歩いていけるように。
俺はこの場所にいて、また言葉を贈ろう。


テミナ。
君は俺の、大切な人だから。
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ