子銀とドS

□9話
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「…っ旦那、今行きませェ…!!」
真選組隊士らが廃墟に出動し戦ってる中1人の影が疾風の如く最上階に真っ直ぐ向かっていた。



そして誰よりも早く最上階につくと

まず疑問を感じた。

「…?。どういうことでェ…?」

最上階は、やけに静かだった。
というか、攘夷浪士どもが1人もいなかったのだ。

「何かの…罠?」
そう思いつつも真っ直ぐ続く廊下を歩くと突き当たりにとても大きな部屋があった。
…その部屋からはただならぬ雰囲気が漏れ出していた。
「ここか…?」

ガラッと沖田は罠などに警戒しつつ部屋の扉を開けた。

「…だ、旦那?!!」
沖田は真っ直ぐ前を凝視する
そこ…部屋の中央には銀時をさらった男が立っていた。
またその男の後ろ斜め、隠れるように銀時はうずくまっている。
「旦那…!早くこっちに!!」
沖田が叫ぶ。だが銀時は闇を写した目をこちらに動かすことも、何かを喋ることもしなかった。


「この、クソヤロー…。
旦那に薬、使いやがったなぁ…!」
沖田は男に剣を向けゆっくりと近づく。
「…カハッ!アハハハハハ!
今頃来たのかい?真選組…。
遅い、遅すぎる…!!」
男は目を見開きそう嘲笑する。

「…お前程度、俺1人で…!」
…沖田が男に向かって踏み出そうとする。
が、その時。

ガラララッ

「?!」

咄嗟に体を地に下ろした沖田が周りを見ると、そこには、
…大部屋の周りの部屋に潜伏でもしていたのか…大勢の浪士が沖田を囲んでいた。

「ッチ、やはり罠だったか…!」
沖田が標的を浪士たちに変えると、ウオオオオッーー!という掛け声とともに四方八方から浪士が沖田に斬りかかる。
しかし、さすが真選組随一の剣の腕、約三分の一程は1人で倒すことができた。しかしやはり自分は1人。
体力と集中力もそこまではもたない。
少しだけ、沖田は止まり、瞬きをした。
その瞬間、後ろにいた浪士が沖田に剣を振り下ろす。
「───くッ!」

…しまった、切られる。

だがしかし、

いきなり現れた人物によって、その浪士は壁に向かって吹っ飛んだ。

「…っ、助けにきました!」
その影の主とは、新八だった。
新八は今も手当たり次第攘夷浪士をなぎ倒している。
「おい、ゴリラ共、これで借りは返したアルよ。」
ざっ…
と現れた赤毛の少女もすぐに周りの浪士たちを吹き飛ばしてゆく。
「やれやれ…。ほら、総悟。ぼーっとするな。」
「おれたち5人ならこのぐらいの浪士はすぐに片付くさ!」
近藤のそれは詭弁ではなく、もうすでに残った攘夷浪士の数は50人程になっていた。

「な、何だ、こいつら…!
たった5人でこれほど…何者だ…!」
さっきまで余裕を見せた男の表情も今は驚愕に変わっている。

「…自分の家族を探しに来た、」
「ただの真選組特別隊士、万事屋だコノヤローッ!!」
あらかた攘夷浪士を地に伏せた2人は男に刀と傘を向ける。
その姿は子供ながらに凛々しく、威圧感を相手に与えていた…

「……はははははははははは」
それを見た男は顔に手を当て、後ろに潜めさせていた銀時の腕を掴んだ。
「ぎ、銀ちゃん!!?どうして!?」
だらーん、となすがままにされている人形のような銀時を見た神楽は驚愕の声を上げる。
…いや、新八、土方、近藤達も目を見開き驚きの表情を浮かべていた。

「旦那は、奴の薬で…」
沖田がそう答える。

「…はは…は…」
その4人のうちひがれた姿を見た男は形勢逆転を悟ったのか、銀時の首に短剣をあてる。
それでも銀時は無表情なまま首に当てられた無機質な光を眺めている。
「だ、旦那ァ!!
ッチ、お前!!何しやがるんでィ!」

「…っ…ははは!!!この方に死んで欲しくなければ俺に近づくんじゃない!!」
もうすでに何か狂ってしまった男はそう言い放つ。

「銀ちゃん…、銀ちゃん!早く逃げて、!」
神楽の悲痛な叫びにも銀時は眉ひとつ動かさなかった。
「…クソ…これじゃ、動けねェ…」
土方がいつも以上に眉間にしわを寄せる。
「そんな…どうすれば」
新八は絶望の色がこもった声で呟く。

その間も梅桃は銀時の首に短剣をあてながらじりじりと後退してゆく。
このままじゃ逃亡されてしまう。

するともう男の居場所がわからなくなってしまい…銀時も…

「旦那、どうか意識を……っ!」
沖田の叫び声が屋敷の中に木霊した。


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