my brother
□泣き虫〜和也side〜
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『おっかえり』
俺が玄関に入ったのと同時に陽菜が洗面所から出てきた。
「ただいま」
帰ってきた時に人がいる小さな安心感は陽菜が来てから知ったもの。
『出来たから食べよ』
やっていたゲームを一旦セーブして陽菜が作った料理をテーブルに運ぶ。
「今日何してたの」
『んーと、ベッドシーツの洗濯に部屋の掃除に川原の散歩!』
「川原の散歩?」
この辺に川なんて無いし、一体どこまで行ったんだよ
『寒かったけど、気持ちよかった!』
にこにこしながら言う陽菜は、俺の前で泣いて以来ちょっとだけ余裕を取り戻していた。
と、思っていたら俺の勘違いだった。
「泣き止めって。なんで泣いてんだよ」
『うぇーん…んぐ。か、和くん』
陽菜の鼻に無理矢理ティッシュを突っ込んだ。
「泣き過ぎ。てか、情緒不安定なの?」
これでも俺、心配してんだからね?
涙が枯れる前に泣き止ませる、ってリミットまで付けちゃってるんだから。
『借りたDVDのシーンを思い出しちゃって』
「DVDって?」
『母と暮らせば///』
若干照れて言った陽菜が面白くて、ふは。と吹き出した
「そんなに良かったの?」
『う、ん。もう返しちゃったけど。』
「俺は見ないよ笑 でも、泣いてくれたのは嬉しいけどね」
これまた、家族愛が強い映画を選んだな。
『家族って良いよね。。。』
陽菜の背中が小さく丸くなった。
「おい、泣くなよ?」
お前がそんなに泣いたら、冷凍庫の氷が足らなくなる。
それに、お前の家族も哀しむ。
“笑顔見せて”
直接そう言えないだろうから
俺が代わりに言う
「笑ってよ、うちの相葉さんみたいに」