my brother
□お試し期間〜陽菜side〜
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『陽菜。』
「何?」
『ちゃんと言えよ?苦しいなら苦しいって、辛いなら辛いって。今まで誰にも言わなかったんでしょ?』
「え…」
和くんの目はいつにも増して真剣で、強い気持ちが篭ってる。初めてここに来た時は冷たいなぁって思ってたけど、和くんってもしかしたら本当はめちゃくちゃ優しい人なのかもしれない。
『俺が家族になってやるから。』
ぶわっと涙が溢れて止まらない。
中学を卒業するまで施設にいたけど、一緒に暮らしている人たちを家族なんて思えなくて、学校の同級生には家族がちゃんといて羨ましかった。
こんな高校生にそんなことを言ってくれる人がいるなんて思ってもみなかった。
「ほ、んとに?」
『ウソ言ってどーすんのよ笑
ほんとだよ、これからは独りにしない』
「あ、り、がと」
それが初めて和くんがくれた私のための愛情だった。
『俺だけじゃなくて他の4人もいるから』
「4人?」
『大野さんに翔ちゃんに相葉さんに潤くん。に、俺がいれば完璧でしょ?』
んふふ、と自慢げに言う和くんが何だかおかしくて私もつられて、んふふ、と笑ってしまった。
嵐がいるから大丈夫。
和くんの表情がそう物語っている。
「あ、明日の朝から朝ごはん作るから食べて行ってね?」
『ん?』
「お母さんが“朝ごはんは大事よ”ってよく言ってたの」
学校に遅刻しそうになった時も、お父さんと喧嘩して逃げるように家を飛び出そうとした時もそう言われて、気づけばお母さんの口癖になっていた。
『んじゃ、有り難くそうするよ』
「うん!」