ド・ギョンスが気付いた3つの事

□2つ目に気付いた事
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時々、彼は恋の波にのまれて溺死でもしたいのだろうかと思う時がある。



『 ああそういえばベク

あれからあの子とどうなった ? 』



濁りやためらいの全く無い、真っ直ぐな瞳でチャニョルはベッキョニに伺うものだから、時々本当に何がしたいのだろうと思う。


そんな問い掛けをしたって、嫉妬の渦にのまれてしまうだけの癖に、チャニョルはいつも態とそう問い掛けて、少しの希望を自分の中に見出そうとする。



ベッキョニに彼女ができた時は、



『 応援してるよ

ああそうだ ベク

アドバイスしとこうか??

女の子は難しいから
yes noの選択だけは間違うなよ 』



ベッキョニが彼女へブレスレットをプレゼントしようとして悩んでいた時は、


『 女の子なんだし こっちのデザインの方が喜ぶと思う

ずっと付けてくれるなら尚更こっちの方が良い
シンプルなデザインの方が服にも合わせやすいだろうしな 』


ベッキョニが彼女と口喧嘩をしてしまった時は、


『 お前達なら大丈夫

絶対こんな事じゃ別れないよ

だから
ほらはやく


ベク 謝りにいっておいで 』



そうやって言う。
けれどはたしてどんな気持ちで言っているんだろうと俺は思う。


心の中で少しの希望を見出そうとする癖に、ベッキョニの恋路を応援する。

だからチャニョルが諦めようとしているのかいないのか、本当にわからなくなる。


はたして彼は恋の波から抜け出す気はあるのだろうか。

それとも誰かが空へと連れ出してくれる事を期待して待っているのだろうか。

もしそうなのだとしたら、それまで彼はきっと溺れ続けるかもしれない。


けれど彼はいっその事、溺死しても構わないと思っているかもしれない。


溺れ続ける彼を助ける事ができるのなら助けてあげたいけれど、きっとチャニョルは俺に助けられる事を望んではいない。

助けて貰えるのなら、
空へと一緒に連れ出して貰えるのなら、
それはきっとベッキョニだろう。


けれど、それでもずっと片思いを続ける彼を見ているのは辛かった。

放っておけば良かったのだろうが、
彼を何年も見続けていると、少しずつ切なさが自分に伝染してしまって情がわく。

だから自由にしてあげてほしい、と俺は思い詰めた事があった。

ベッキョニに伝えようと考えた事もある。


差し出がましい真似かもしれないが、ただそれほどまで彼の事を見ていられなかった。


けれど、そんな彼は急に変化を見せた。

いいや、正確に言えば、彼等は急に変化を見せた。


それだけではない。


チャニョルとベッキョニには、1つだけ、




『共通点』



ができた。
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