This is love.B

□This is love.B
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「...そういえば、俺ずっと疑問だったんだけど、

...お前ってなんで女つくんねえの??



そうベッキョンが問い掛けたのは、大きなふかふかのソファーに腰をおろし、その長い足を組んでギターを弾く、自分よりも1回り2回り背の高い、歳を重ねる度に格好良くなっていく目の前のパクチャニョル。

ずっとビョンベッキョンは考えていた。

彼を求める女性は沢山いると思う。
ここぞとばかりにさり気なく触れてチャニョルの顔を伺う女性だって、チャニョルの事を熱の持った瞳で見ている女性だって今まで沢山見てきた。

なんなら、チャニョルに対して特別な感情を抱いている同じ業界の女友達だって片手ではおさまらない程俺は知っている。

なのに彼の口から女性の話を聞く事は皆無に等しく、チョニョルが女の話をしたと思えばいつもなんとなくただあの子可愛いよな程度のものだった。

それどころか、音楽の話やチャニョルが飼っている愛犬のトーベンの話。

最初こそ、こんな業界に入り自由に恋愛も出来ず毎日せわしくすごす俺達だし、どれだけメンバーが一丸となっても今このグループは何かちょっとした刺激でも傾いてしまう程追い詰められた位置にいるから、そんな少しの刺激を避ける為に、恋人なんて枠におさまるものを作らず、一夜だけを共にする女性でも作って、ストレスや欲求のはけ口を作っているのかと思っていた。

けれど、こうして今のように彼の家へと足を運んできても、長い髪が1本落ちていたとか、化粧品が置いてあったとか、女性が使う香水特有の甘い香りのなごり。
そんな女性がいた痕跡なんてまるでない。

たとえ一夜だけだとして、匂いのなごりがなくとも、髪が落ちていなくとも、化粧品が置いてなくとも、グループとしての仕事がひと段落した時や、お互いの仕事がひと段落を迎えた時いつもチャニョルの家であるここへ来るベッキョンならなんとなくの勘でわかる。

そんなベッキョンでさえもわからない程にチャニョルから女性の気配はしない。


「 ... お前程女が好きなわけでも無いし
そもそも今は恋愛自体に興味もない

あえて言うなら俺の彼女はこのギターかな 」

チャニョルは唐突に問いかけられたその質問にピックを持った手を止めて、少し間を置いてからベッキョンへと視線を向けて答える。


「 なっ...、 別に俺だってそこまで女好きなわけじゃねえよ

...けどストレスたまったり欲求満たしたい時だってあるだろ?? 」

「 確かに
でも俺は今1人で満足してるよ

ストレスがたまった時はトーベンに癒してもらったり
こうしてお前と一緒に居る事で解消できてるし
ずっとしたかった仕事ができてるんだ
だからそこまでストレス自体たまらない

欲求を満たすのだって1人でできるしな 」


「 ハハ なんだよそれ 」


優しく微笑んだチャニョルはまた視線をギターの弦へと戻し、ピックを咥えて今度はその男らしく長い指で弦をはじきはじめる。
何気ないそんな他愛の無い話をするソファーに腰掛けたチャニョルと、床に腰を下ろしてソファーにもたれるベッキョンは、部屋に置いてある色温度の低いオレンジ色の柔らかな照明に包まれていた。
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