夢のお茶会

□恩人
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彼が呟いた瞬間
辺りが静寂に包まれました。
何と言えば良いのでしょう・・・
張り詰めた空気?
違う、まるで
触れてはならない事に
触れてしまった様な・・・。
しばらくして(多分3分は経っていた)
クダリ様が口を開いてくださいました。


「・・・あ、ごめん。嫌な思いさせた?」


「あ?あぁ、大丈夫なんですよ。ただそう思っただけですから。」


さらに沈黙が続く。
ここにご主人様が居たら
絶対泣いていただろう。
私は思わず消えたくなりました。
沈黙が続いた後クラウド様は
"コーヒーを買いに行ってくる"と
言い残し部屋を出て行きました。
クダリ様は悲しげに彼の背中を
見つめていました。
私は何があったのか
知りたくてたまりません。

どうしてでしょうか・・・。
こんな衝動に駆られたのは
どうしてでしょうか?

私はじっとクダリ様を見つめると
クダリ様は少し黙ってから
口を開いてくれました。


「・・・あー、クラウドの事。気になるでしょ?」


内心びくりとしましたが
それをうまく隠しました。
何も言わずにいると
クダリ様はあっさりと
答えてくれました。


「・・・クラウドにはね、師匠が居るんだ。まぁ、ずっと前になるんだけど・・・」


クダリ様は静かに語ってくれました。

クラウドには師匠が居るんだ。
優しくて頼れる自慢の人。
現在はカナワタウンで
てつどういんの仕事を
しているんだけどね。

彼をクラウドは尊敬していた。
まるで自分のお兄さんの様に。
慕っていた。
クラウドにとっては
恩人に当たる人なんだ。

だけどね、ある事件が起こって
それ以来クラウドは彼を避ける様に
なってしまった。
嫌いだからじゃない。


彼はクラウドを責めなかったから。


彼との距離を置いている。
距離を置かなければ
彼が傷ついてしまうから。
クラウドは自分を責めて欲しい。
そう願っていたけど
彼はクラウドどころか
誰も責めなかった。

彼は優しすぎた。

そんな関係が続いている。
彼は会いたいって思ってる。
だけどクラウドは
会いたくないって思ってる。
過去の過ちを枷にしたまま
今ズルズルと引きずってるんだ。

それ以来クラウドは
彼を模した格好をしている。
髪を茶色に染めて
慣れないピアスを付けた。

彼を傷つけた過ちを
忘れない為に・・・・・・


「皮肉な話だろう?」


クダリ様の声を聞いて
現実に戻って来た。
声は出なかった・・・。
いや、出せなかったんだ。
あまりにも・・・・・・


ご主人様と・・・


「あれぇ?クダリさん?」


言いかけた言葉は起きて来た
ご主人様によってかき消された。
毛布にくるまりながら
椅子に座っていた。
"よく寝てたね"と
クダリ様はいつもの口調と
テンションで話しかけた。
臨機応変ができる人だ。

そんな空気になった時
クラウド様もお戻りになった。
いつもの様に飴をくわえながら
缶コーヒー二本と
ミックスオレ二本を手に持ち
帰還して来た。
"起きたか"と言って
私とご主人様にミックスオレを
渡してくれた。

コーヒー買いに行くと
出て行ってミックスオレまで
買って来てくださるとは。
私はミックスオレの蓋を
霊力で開けた。
すると何故かクダリ様とバチュル様
クラウド様やご主人様までもが私を
じっと観察していた。

おや?どうなされたのですか?

私の質問に答える様に
三人は声を揃えてこう言いました。


「「「ランプラーって、どこが口?」」」」
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