夢のお茶会

□恩人
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書類を片付け終わったご主人様。
机に突っ伏したまま
気持ち良さそうに眠っている。
ふふっ・・・彼は一体どんなユメを
見ていらっしゃるのでしょう。
霊力で毛布を引っ張り出し
ご主人様に掛けて差し上げました。
おや、そういえら前にも
こんな事がありましたね。

そう・・・あの時は確か・・・








「だれかそこに居るの?」


私は声のした方へと
目を向けると
白いロングコートを纏った男性。
にたり顔を崩さず
こちらをみている。

サブウェイマスターのクダリ様。
クダリ様は少しして
ご主人様が寝ている事に
気がついたのか
声を小さくして呟きました。


「あぁ、寝ていたんだね。」


はい、寝ておられるのです。

恐らく声は届いていないでしょう。
ですが彼は私の言葉を
理解するかのように
"そっか"と相槌を打ってくれました。
彼にはポケモンの言葉が
わかるのでしょうか?
不思議そうにみていると
"君はお守り?"と
聞いてまいりました。
私は言葉を話せないので

コクリと頷きました。
すると彼は私の頭を撫でて
"偉いね"とおっしゃってくれました。
ご主人様以外に
こうされたのは初めてでした。
私がしばらく驚いていると
先ほど、クダリ様が
いらっしゃった扉が
ガチャリと開きました。

入って来たのはご主人様と同じ
緑の服を着た男性。
この男性は確か・・・


「あ。クラウド」


私が言う前にクダリ様が
言いました。

そう、クラウド様です。

ご主人様が仰っておりました。
特徴的な顔に特徴的な喋り方をする。


「白ボス・・・と、ランプラー?」


「うん。名無しさんのお守り」


私が言う前にクダリ様が
仰ってくれるので
喋れない私にはありがたい。
クラウド様は書類を運びながら
"偉いなー"と相槌を打って下さいました。

なにやら物凄く嫌な予感が・・・。
嫌な予感程よく当たるのです。

クダリ様の帽子から
飛び出して着たバチュルに
驚き書類をぶちまけてしまい
クラウド様もまた転びそうに
なっていました。
クダリ様が彼の名前を
呼ぶより先に私が霊力で
彼を浮かせ、なんとか
クラウド様は机に頭をぶつけずに
済んだのです。

私が霊力を解除すると彼は
ぶちまけた書類の上へ
座り込みました。
"なにが起こった?"と
言わんばかりに辺りを
見渡しています。
クダリ様がすぐに駆け寄りますが
彼はそれどころでは
ないのでしょう。
しかし彼はズボンに着いた
ホコリを払うと
書類をかき集めている。

あぁ、大変そうだ。
クダリ様は小声でバチュルに
怒っている。
私は霊力をもう一度発動し
散らばった書類を纏めあげる。
その瞬間、クラウド様と目が合った。

あ。バレましたか。

私はにこりと笑うとデスクの上に
纏めた書類を乗せました。
しばらくして
キョトンとしていた彼が
私の方へ歩み寄って来ました。
そして私の頬を優しく撫で
"ありがとう"とお礼を
言ってくださったのです。


「ごめーん。僕のバチュルが」


「気にせんといて下さいよボス。こいつのおかげで助かりましたから。」


「はは、ランプラーはクラウドの恩人だねー!もう足向けて寝むれないね?」


「ホンマそれですわ。なんか、助けられてばかりやなぁー。」
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