夢のお茶会

□イッシュ図鑑 NO.143 ウルガモス
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こうなる事は測定済みの為
バケッチャのモンボに
巨大なセロハンテープを
貼り付けていた。
ジャッジさんは強いトレーナーと
強いポケモンが大好きらしい。

僕、そんな強くないけど。


「名無しさんくんて、ゴーストタイプ好きなんだろ?」


バレてる。
何故バレたしw
えー。個人情報。

僕は抱きつくジャッジさんを
ズルズルと引きずりながら
持ち場に戻る。
貴方もいい加減持ち場に
戻った方が良いだろ。
僕はそう言ってみるが
全く聞く耳を持たない。
というより
完全無視でポケモンの個体値や
努力値、めざめるパワーの事などを
ペラペラと早口言葉の様に
言ってのけた。

ンー、素晴ラシイ。

ジャッジさんの口調具合は
なんとも言えない。
素晴らしくジャッジさんらしい。

何言ってんだろう僕は。
スーパーダブルトレインまで
ジャッジさんを連れて来てしまった。
あーあ、どうしよう。
迷っている僕の後ろから
バリンと何かが割れる音がした。


「え・・・?」


振り向くと目の前には
大きな口が迫っていた。
鋭い歯がギラリと立ち並ぶ
声を出す暇もなく
ガブリと何かが噛み付いて来た。

しかしいくら待てど痛みが来ない。
僕は恐る恐る目を開けた。
そこには先ほど僕に抱きついてた筈の
ジャッジさんが右腕で"ソレ"を
受け止めていた。


「・・・・・・ヘルガー?」


ヘルガーが噛み付いた彼の腕からは
夥しい量の血が流れ出ていた。
僕がジャッジさんの
助けに入るより先に
彼の口が動いた。


「残念だなぁー。お前がウルガモスなら逃してやったのにー」


一瞬何を言っているのか
理解出来なかったが
そんな思考もあっという間に
かき消されてしまう。


「ラティオス・・・りゅうせいぐん」


いつの間にか上空にラティオスが
現れていた。

というより、ここで使うの!?
列車の中に居る人マズくね?
僕の不安をよそに
ドカドカと流星が降り注ぐ。
僕やジャッジさんには
うまいこと当たってない。
ていうかちょっとやりすぎ。
ヘルガーが可哀想。

戦闘不能になったヘルガーに
ジャッジさんは言ってのけた。


「次、名無しさんくんを襲ったら、容赦しねぇから。わかったらhouseだ。」


指をヘルガーの飼い主と思われる
人物の方へ向け指すと
ヘルガーは飼い主の元へ戻った。

その後は飼い主さんがちゃんと
謝りに来てくれた。
どうやら戦いの最中に
ヘルガーが飛び出したらしい。
それがこちらに来たのだ。
僕はジャッジさんの腕を
手当していた。

傷は思ったより深くない。
よかった・・・。
何で僕は心配してるんだろう。
それに一瞬だけ
ジャッジさんの名前を
叫ぼうとした。
もしや僕の中で半分だけ
彼を心配してるんだろうか?

いや、そんな訳ない。
そんな訳ないだろう。
まさか・・・ね。
だけど認めなければならない。
でなきゃどうしてあの時僕が
彼の名前を叫ぼうとしたのかが
分からなくなる。

う、うーん。もどかしい。
今度はもう少しだけ
優しくしてみようかな。
僕はそんな事を考えながら
彼の包帯を結んだ。


「はい、これで良いですよ」


「いやぁー、何か悪いね!手当してもらったみたいでー!」


「い、いえ!!こちらこそ助けてくれてありがとうございます!!」


助けてくれた彼がお礼言うのは
何かおかしい。
普通助けてもらった僕が
お礼を言わなきゃダメだ。
もしかしたらジャッジさん
僕を守ってくれてたのか。

うん、やっぱり
もう少し優しくなろう。

後、ウルガモスの件は
ジャッジさんはウルガモスが
大好きらしい。

廃人なんだなぁ・・・
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