夢のお茶会

□地下鉄廃人施設
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「兄さん!!」


「クダリ」


「あ、クダリさん!」


「名無しさん!君も一緒だったのか!丁度良かったよ!!」


息を荒げて走って来たのは
ノボリさんの弟のクダリさん。
しかしクダリさんにしては
顔に余裕が無い。
いつもなら無邪気な笑顔で
抱きついて来るのに・・・
しかも「兄さん」呼びだ。
クダリさんは普段
ノボリさんの事を呼び捨てで呼ぶが
何か一大事が起った時には
途端に凛々しくなる。

どちらかと言えば僕は
この凛々しいクダリさんの方が好きだ。
弟と言うよりは
本当に双子に見える。
言葉遣いや容姿はノボリさんに
似ているからだろう。
あぁ、しかし白が似合う。

話が外れた。
クダリさんが真剣になっている。
何か一大事が起こったのだろうか。


「クダリ、何があったのですか?」


「聞いてよ!兄さん!僕のバチュルが・・・」


「バチュル・・・?」


「僕のバチュルがポケルスにかかった!」


その言葉を聞いた瞬間。
なんだろう。
生暖かい風が吹いた。
どうやらクダリさんの話によると
クダリさんが愛玩用に飼っている
電気ポケモン・バチュルが
ポケットモンスターシリーズでは
お馴染み。廃人達御用達の有益な餌。
"ポケルス"に感染したとの事。
というか何故感染したし。

クダリさんの帽子から
バチュルが出て来て
ウズウズ、ソワソワと震えている。
あ、これ多分ポケモン出したら
伝染していくやつだ。
しかしクダリさんのバチュルが
ポケルスに感染したとなると
彼の手持ちが心配だ。
そこはノボリさんが
なんとかしてくれるだろう。

しかしその考えが甘かったのだ。


「クダリ、しばらく私の育成中ヒトモシをバチュルの側に居させておいて下さいまし。」


「任せて!バチュルも遊びたくてウズウズしてるんだ!きっとヒトモシと仲良くなれるよ!」


バチュル 遊びたくてウズウズしてる
意味深すぎるだろ。
それに僕は知っているんだ。
ノボリさんのヒトモシも
クダリさんのバチュルも
両方性別が♀だと言う事を。
ノボリさんの方は育成中には
打ってつけの機会だからかもしれないが
それ以前にクダリさんの言い方に
問題があるのかもしれない。

この時僕は思った。
この双子は暴走列車だ。
こうなればもう・・・・・・

誰にも止められないと・・・。
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