夢のお茶会

□てつどういんのお仕事
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数が足りないと来た為
半端強制的に列車へと押し込まれた
午後12時。
バトルサブウェイが
かなりの確率で忙しくなる
時間帯だ。
受け付けは先輩の
カズマサ先輩が引き受けてくれた。

また何かお礼しようかな。
なんて考えれたらどれ程
マシだろうか。
今回、僕が配置されたのは
シングルトレイン三週車両の
5両車目である。

しかも運悪く、僕の次は
てつどういんで
その次はサブウェイマスターだ。

あの、ここに配置するの
間違いじゃないすか?
だってそらぁ、僕だってさぁ
大型ポケモン持ってる訳じゃ
ないんだもの。
それは良く知っているでしょ?
小型しか持ってないのよ?

そんな僕を態々、最終車両に
投下するのか!?!?


「5両車目!バトルお願いします!!」


トレーナーが来たんですけど
完全に目がアレですね。
獲物を捕らえた野獣の目だ。
この人は廃人かもしれない。
さて、どんなポケモンを持って来て
くれるのだろうか。
果たして、僕で勝てるのか?
勝てなきゃ完全に
足手まといである。
シングルトレインなのだから
そう大したポケモンは
持っては来ないだろう。

いや、多分の話だ。
前を見ようが 後ろを見ようが
地獄絵図にすぎない。
なら、やってやろうじゃないか。
勝つか、負けるかなんて
関係ない!!

僕だって立派な てつどういん
なのだから!!


「線路は定められてるもの。電車はその上を点々と突き進むのです。」


勝たなきゃかっこ悪いだろう?

どんなポケモンを出して来るんだ。
どんな作戦で来るんだ・・・。
緊張とプレッシャーで
真っ白になりかけたのは
僕の頭の中。
手汗で濡らした手のひら。
心臓の鼓動がバクバクと
音を立て僕を駆り立てた。


「行って!ジャローダ!」


「出て来て下さい!フワンテ!」


体格的にも明らか不利だ。
確かにタイプ相性からにして
こちらが有利だが
素早さも特攻も
明らかジャローダの方が強い。
だけど負ける訳にはいかない!!

この先に居るてつどういんさんの為にも
この最終車両の最後尾に居る
サブウェイマスター・ノボリさんの為にも。


「ジャローダ!とぐろをまく!」


「積み技!!僕が嫌いとしてる戦法だ。カゲボウズ!ナイトヘッド!」


かげうちは威力こそ低いが
先制技だ。
こうでもしないと
カゲボウズは勝てない。
せめて少しだけでも
カゲボウズに勝機を与えたい。
というより僕も全力で
勝ちに行くつもりだ。
廃人じゃないけど
僕だって、てつどういんだから!!


「ジャローダ!!リーフブレード!」


「カゲボウズ!かげうち!」


ジャローダがリーフブレードで
間合いを詰めて来た瞬間
かげうちで対抗する。
黒煙が辺りを包んで完全に
目くらまし状態だ。
こんな中で"冷静になれ"と
言われても即座に冷静に
なれる筈がない。
だけど僕は冷静だった。
だってこれは

僕にとってピンチであり
チャンスであったから。


「ジャローダ!エナジーボールよ!!」


エナジーボールが見事的中。
あのジャローダは黒煙の中で
こっちにクリーンヒットさせたのか。
侮れないかもしれない。
だけどこうなる事は測定済みだ。
だからこっちも策を取らせて貰った。
相手の顔に笑みが零れた。

勝ったと確信しているのだろうか。
まだ勝負は終わってないんだよ!


今がチャンスだ。


あのトレーナーの鼻を


へし折ってやろうじゃないか。

いけ・・・僕のポケモン・・・


ジャローダに・・・





「れんごく」


低いトーンで放った言葉と共に
黒煙をも消し去る炎が
ジャローダを包み込んだ。
相手トレーナーから笑みが消え
"何が起こった?"と
焦りを見せていた。
そりゃそうなるだろう。

カゲボウズがれんごくなんて
覚える筈無いからだ。


すみませんねぇ。
物凄く狡いやり方で。


「黒煙が舞ってる際に入れ替えさせてもらいました。こっちしか勝機が無いんです。ランプラー、よくやったね。」


そんな顔しないで下さい。
怖インデスケド・・・。
あー、完全に火つけましたね。
バトルなんですから負けを認めて
下されば物凄く嬉しいです。
まぁ、まだ相手2体居るでしょう。

ただ、こちらのデメリットは
1匹目と2匹目を知られた事。
そこはやってしまった。と
思っている。

だけどまだ油断は出来ない。
ジャローダをなんとか倒した先で
まだ次のポケモンが
待っているのだから。


「まだ、これからよ!行って!ヒヒダルマ!」


「ヒヒダルマですか。良いと思いますが少し、相性が悪かったのでは、ございませんか?」


「まだだって、言ってるでしょ!?ヒヒダルマ!フレアドライブ!!」


ヒヒダルマのフレアドライブを
モロに喰らうランプラー。
こうかはいまひとつだが
自分より強いポケモンの技を
喰らえば間違いなく
瀕死になるだろう。
しかしそれはあくまで
普通のポケモンならの話だが。

フレアドライブを喰って
平然と宙に浮いてるランプラーを見て
相手の顔から怒りが消えた。
"何で"とでも言いたいのか
口をパクパクとさせている。


「すみません。このランプラー、特性がもらいびなんですよ。では、次はこちらから。ランプラー、あやしいひかり」


ヒヒダルマを混乱させ自滅へと
誘う事にした。
ほんとやり方狡いでしょ?
これが僕のやり方なんです。
ヒヒダルマが混乱してる隙に
ポケモンを入れ替える。
ボールから出て来たのは
バケッチャ。これが僕の三体目。

ヒヒダルマは混乱していて
うまく攻撃出来ないらしい。
その度にトレーナーが
歯痒そうに見ていた。
歯軋りまでしている。

何かほんと、申し訳ない。
だけど勝負は全力だ。
僕は勝負に手加減はしない主義。
戦いこそ全力で挑むものだ。


「バケッチャ!ハロウィン!」


「っんなの、効かないわよ!ヒヒダルマ!フレアドライブ!!」


混乱から立ち直ったヒヒダルマが
バケッチャ目掛けてフレアドライブを
仕掛けて来た。
モロにブチ当たるバケッチャ。
飛ばされて来るバケッチャを
優しく抱きとめお礼を言った後
ボールへ戻した。

よくも僕の愛すべきゴーストポケモンを
傷物にしてくれたな。
許さねぇ、この女・・・・・・


「ランプラー」


「あぁーッ!もうっ!またランプラー!?いい加減にしなさいよあんた!!」


何やらウダウダ言ってるが
気にせず、たたりめを
ブチかました。
ハロウィンでゴーストタイプが
追加されたヒヒダルマには
こうかはばつぐんだ。
混乱で自滅気味だった
ヒヒダルマはあっさりと
瀕死になってくれた。

相手が最後に出して来たのは
予想だにしていないポケモンだった。


「行きなさい!ミュウツー」


「は?」


心の声が漏れた。
ミュウツーはサブウェイで
使用禁止になっているポケモン。
この人は何考えてんだ?
頭の中が腐ってるのか?
ルール違反なんですけど。
一旦バトルを中断して
相手に確認を取ってみよう。

そう考え足を踏み出した瞬間
ミュウツーの目が赤く光って
気がつくと腹に技を喰らっていた。
そのまま次の車両にフッ飛ばされる。

つくづく運が無いんだなー。
何て思いながら受け身を取ろうとした時
誰かに受け止められる。


「名無しさん!?」


「う、あ・・・ノボリ・・・さん?」


「名無しさん、いきなり何やねん!?ドア蹴破って来たんか!?」


「クラッ・・・ド・・・さっ・・・


腹にめり込んだせいで
うまく声が出せない。
そうか・・・僕の後ろの車両に居た
てつどういんはクラウドさんなのか。
立ち上がれる筈も無く
ノボリさんの腕の中でお世話になる。
ランプラーが車両から飛び出して
僕を心配そうに見ていた。

目線だけでも大丈夫と言ってみせるけど
身体は正直だな。
限界だと悲鳴を上げていた。
さっきの車両からは
ミュウツーを連れたトレーナーが
向かって来ている。
"逃げて"と声を出そうと
試みるがうまく出ない。

早く逃げて・・・二人とも・・・
アレと戦っちゃいけない・・・。


「名無しさんも派手にポケモンでやったなぁ・・・シンゲンでもここまでせんわ」


「・・・っ、クラウド!伏せなさい!!」


ノボリさんがいち早く気付いて
クラウドさんの頭を
無理やり下げながら
自分も態勢を低くした。
すると二人の頭上を何かが通り過ぎた。
多分、僕の喰らったアレだろう。
後ろの壁にめり込んで穴が開く。
僕はどうなってるか分からないが
クラウドさんの表情が
青ざめてるのを見て何となく察する。

あれをモロに喰らって
生きてる僕は凄いと思う。
後から来る痛みに耐えながら
意識を保ってはいたが
決定的な激痛が全身を
襲った瞬間、意識を手放した。
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