短編夢

□俺らしくもねェ
1ページ/1ページ


晴れた昼下がり。俺は呑気に昼寝しようとメインマストにもたれかかった。すると船中に響き渡るルフィ達の声が始まった。
その中に聞こえたのは一際高いはしゃぎ声。エリーの声だ。




おれは片目を開けてその姿を確認する。
ルフィ、ウソップ、チョッパーと一緒に走り回って遊ぶエリーはすげェ笑顔だった。


「ゾロー!!ゾロも一緒に隠れんぼしようよー!!」

メリー号二階の手摺りから両手を口元に添えて俺に叫んでるエリー。正直可愛いと思ってしまうのは俺らしくもねェ。




「なんだ…もう寝ちゃったの?」

狸寝入りをする俺にエリーはすっかり寝ちまったと思い込んで、口を尖らせてつまらなそうにしてる。


そんな顔もたまらねェ。


そんな時だった。


「おーい!!エリーー!!!
ウソップがすんげェデカい魚釣ってるんだ!!見に行こうぜー!!!!」


ルフィがエリーの手を握って船尾の方へ走って行った。

抑えろ俺!ただの遊びじゃねェか…!!



俺は気を鎮める為に寝ようと試みたがさっきの出来事が脳裏に焼き付いて離れない。

コツ コツ コツ


足音が聞こえた。

おれの目の前で止まる足音。


(誰だよ…ったく…俺は今機嫌が悪ィんだよ)


「ゾーロっ」


「!?エリー…お前さっきルフィと遊んでたんじゃねェのかよ!?」


エリーの突然の登場に内心マジで焦った。
誰の足音なのかわからねェくらい動揺しちまってたのか?



「やっぱりゾロが居ないと楽しくないよー」

そう言ってエリーは俺の隣に膝を抱えて座った。


俺の心臓が速い。エリーに聞こえちまうんじゃねェかってくらいにバクバクうるせェ。
なんか顔も赤い気がする。気のせいか…?



「ねぇ!ゾロと一緒にあたしも昼寝してい?」

エリーの言葉に俺は嬉しかったがポーカーフェイスを装う。



「どうしたんだ?急に
俺のことが恋しくなったか?」

イタズラに笑ってみせた。


エリーの表情は俯いていて見えない。
暫くしてエリーが返した言葉におれはいよいよ心臓が止まるかと思った。

「うん あたしね ゾロのことが…
好き…なのかな?」


気付いたら俺はエリーを抱きしめていた。俺らしくもねェがエリーが愛しくてたまらなかったんだ。



「お前…それ反則だろ」

エリーの肩越しに言った。俺の赤い顔がバレねェように。


「ゾロは…あたしの事好き?」

エリーが聞くもんだから今度は顔から火が出そうだった。



「そう言うのはなァ…」

俺が照れて頭を掻いていると、エリーの表情は不安で徐々に曇っていく。


腹を括らなきゃこいつの大好きな笑顔が見れなくなる。
今俺大好っつったか?おれらしくもねェ。


「エリー 俺はお前が好きだ!! 誰かに取られたくもねェ
おれは嫉妬深ェから覚悟しとけよ!!!」


言っちまった。
エリーの反応は!?


目を丸くして驚いてたエリーが笑った。



「ありがとう ゾロ!!
あたしもゾロの事が大好きだよ…!!
何があってもゾロを守って見せるからね!!」


なんか違くねェか?それおれのセリフだろうが…
そんなツッコミを心の内でした。


「まっ 大剣豪の嫁になるンなら
それくらいでなきゃなァ」


俺は笑ってエリーの頭をポンポンと撫でた。


「もー!!!また子供扱いするー!!!!」


エリーが怒ったから俺は逃げるとする。



「お!?なんだなんだ!?!?
ゾロとエリーが鬼ごっこしてるぞ!?」


ルフィ達も面白がってついて来やがった(汗)

まァ今日だけは付き合ってやるか。





.
次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ