ヒロアカ夢

□私がまさか!
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「ここは…」




ぼんやりとした意識が浮上し私はゆっくり目を開けた。すると真っ白な天井が見える。




私の家の天井はこんな色ではない。不審に思い、起き上がり周囲の状況を確認しようとしたが




「!?」





体にうまく力が入らず鉛のようだ。何度も起き上がろうと試みるがうまくいかない。そんなことをしているうちに扉が開く音がした。入ってきた人物は私の様子の変化に気づき驚いた声をあげる。





「いっ、意識が戻った!」





そんなことを叫びながらパタパタと慌てて誰かを呼びに出ていったようだ。その足音を聞きながら、私はというとただただ、自由にならない体と格闘していたのだった。






医者「奇跡だ…」





あれから私はたくさんの医者や看護婦に囲まれ、あれよあれよと言う間にいろいろな治療や説明を受け、今に至る。そして改めて自分に与えられた今の状況を一言で表すと





異世界トリップ




したのである。




おっと、そういえば自己紹介が遅れていた。私は○○○子。年齢29歳。現在は一児の母で時短を取りながら働く世に言うワーキングママというやつだ。




自分で言うのもなんだが能力も容姿も中の下、どこにいても目立たない地味なただの一般人。
趣味はドリームを考えることで、トリップも何度夢見たかしれないが、実際にその立場になると流石に戸惑っている。





「あれは夢ではなかったんだなぁ〜。」







お前は選ばれた






真っ白な世界で厳かな声だけが聞こえる。





世界を救う任務についてもらう




「!?」





いきなりの言葉に驚く私などお構いもせず声は坦々と説明を続けていく。





この世には無数の次元が存在する。お前の世界もその一つに過ぎない。

今まで各々の世界は閉ざされ秩序を保ってきた。しかし今一つの悪によって、その秩序は壊され世界は危機に瀕している。





「???危機って具体的に何が起きてるんですか?」





おそるおそる自分の疑問を相手に訊ねると




本来交わることのなかった世界が繋がってしまった。悪は次元を越えて手を結び、全ての世界の崩壊を目論んでいる。既に秩序の崩壊により消滅した世界がいくつもある。





「消滅!!!」





お前の生きる世界も例外ではない。
だからこそお前は選ばれたのだ。
今から行く世界をお前は既に知りている。しかし知っているからといって必ずしもその通りに事が運ぶとは限らない。
何故ならば敵もまたその世界の消滅のために既に動いているからだ。





お前の任務は世界を正常な流れに戻し、その根元を絶ち異世界からの扉を封印することだ。






「ちょっ、そんな大層なこと私に任されても!」





話のスケールのでかさに慌てて私は食いついた。トリップやドリームで物語の主人公を、何度も憧れたがいざその立場になると理不尽すぎる。



なぜ私みたいな一般人Aが、いきなり世界を救えだなんて。しかし声の主は私のことなどお構いなしで話を進めていく。




お前ならできる。お前は選ばれたのだ。




そこで私の中の何かが切れた。







「それしか言えんのかボケが💢!!!」





あまりの理不尽さにとうとう切れてしまった。言葉遣いも非常に悪いがなりふりなど構っていられず私は怒鳴り付ける。




「必要なことが何も教えられてない、保証もされてない。そんなんではい私は世界を救う救世主に選ばれました。がんばります!なんて言うと思ったの?そんな奴それこそ大バカだわ!💢」





私のひどい剣幕に声の主が黙った。





「だいたいさ。選ばれたとか世界を救うなんて言葉並べたら、ホイホイ食いついてくるとか思ったかもしれないけれど、私だっていい大人なわけで現実的な面だって多々あるわけなのよ。」




一通り文句をぶちまけたあと私は声の主に条件を提示する。





「最低限保証してほしいものは3つ。」



1、容姿と能力
高い戦闘能力と治癒能力がほしい
身体能力も高くしてほしい



2、自分の世界の生活の保証
私がいなくなる事が影響しないかつ、私が任務を終えたあと問題なくもとの生活に戻れること




3、一人でいきたくない
一人は流石にさびしい。友を連れていきたい




取りあえ上の3つを提示する。




「あとどこの世界行くかも聞いてないんだけれど。」




お前は今までの奴とは随分勝手が違うな。




声の主は少し驚きながらも私の提示した件を呑んでくれた。
ただ3番についてはぶっちゃけ親友の○子さえいてくれれば私は文句がないと言うと、彼女も選ばれた一人で私とは違う世界へと任務につくようだ。



(というか同じような同士が複数いるなんて聞いてなかったぞ!)




それで連れていくのではなく、連絡がつくようにしてくれて、必要に応じて相互援助関係を行うことになっている。



これ以上は受付不可だ。お前みたいなふてぶてしい奴ははじめてだ。っとお前たちの間違いだったな。



そう声の主に言われた。どうやら親友も似たようなことを請求したらしい。当然だ。私たちは赤ちゃんのころから一緒にいたのだから。





では健闘を祈る




回想を終え私は顔をあげた。そして病室に備え付けられている洗面台で自身の容姿を確認する。




(要望通りとはいえ見慣れんなぁ)




私の容姿は要望通り少し幼さが残ってはいるが某FFのテ○ファを元にした姿になっている。




(15歳かぁ…)




この世界での私は中学三年生。
まさか自分の赴任先がヒーローアカデミアの世界とは驚きだ。




学生時代なんて10年以上前で、正直学生の感覚についていける自信がない。それが私の本音だった。




そして冒頭を思い出してほしい。この世界での私はと言うと、事故で両親を失い自身もずっと昏睡していた天涯孤独な少女、名字名前だった。




ドリームの世界ではよく馴染んだ名前だが、やはりいざ呼ばれると不思議な感じがする。




「これからやること盛りだくさん…」




そんなことを呟きながら私は眠りについたのだった。


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