銀魂夢

□偽恋人騒動2
1ページ/1ページ

名無しさん「ちょっと、どこいくつもり?💢サボりに行かないでよ!チンピラワンコ!」



沖田「へぇへぇー、行かねぇよ。相変わらずギャーギャーうるさくてかなわねぇな。」



名無しさん「はぁー、あんたと二人で見廻りだといつもなんかあるんだよね。」



沖田「それは俺の台詞でぃ。」



名無しさん「なんですって💢?」



沖田「いつも厄介事ばかり首突っ込みやがる。」



名無しさん「まるで私に非があるような言い方するけど、私は悪くないわよ。向こうからやって来るんだから。」



いつものようにお互い悪態をつきながら見廻りをする二人だったが、そこで思い出したかのように沖田が名無しさんに話し掛ける。


沖田「へっ、どうだか、そう言えば聞いたぜ。おめぇ須藤財閥の御曹司に付きまとわれてるらしいな。お前みたいなメスネコのどこがいいんだか。」



名無しさん「むっ💢!サディストのおまえだけには言われたくないわ。何度断っても懲りずに誘ってくるんだもん、私の魅力の賜物じゃない!」



沖田「きっとそいつは目がイカれちまってるのさ。」



名無しさん「何を〜💢」



沖田に殴りかかろうとしたとき後ろから声をかけられた。



須藤「やぁ名無しさん。偶然お前を見つけて挨拶に来た。今日も変わらず美しい。」


名無しさん「げっ、真也。」



沖田「こいつが例の奴か。てめぇみたいなメスネコが美しいなんてやっぱり目がイカれちまってらぁ。」


名無しさん 「だからイカれてるのはあんたの方よ!」



須藤は名無しさんのキツいもの言いに、その矛先である沖田に興味を持ったのか尋ねる。



須藤「こちらの方は?」



名無しさん「沖田総悟。名前くらいは聞いたことあるんじゃない?一番隊隊長で口も態度も悪いけど一応私の上司よ。」


名無しさんの言葉に須藤は感心したような態度で


須藤「ほぉ、うわさは何度も耳にしたことがある。真選組一番の剣の使い手だってね。しかし、こんなに若いとは知らなかった。」


沖田「そりゃあどうも。」


沖田はさも興味なさげに返事をする。


須藤「しかし、沖田君、君は腕は立っても女性を見る目はないんだな。こんなステキな女性が君の部下であることをむしろ誇るべきだ。」



沖田「はっ、こいつのどこに」



反論しようと口を開いた沖田だったがそれを名無しさんが防ぐ。


名無しさん「そうなのそうなの!もっといってやってちょうだい。」



須藤の言葉に気を良くした 名無しさんは盛大に頷きながら賛同した。
すると今度は須藤が名無しさんに向き直り話しかける。



須藤「さて、本題に入ろう。名無しさん 。」


名無しさん「何よ。」



須藤「今度我が須藤グループが主催するパーティーがあるんだ。」


名無しさん「はぁ、それがなにか?」



須藤「そのパーティーで君を俺のパートナーとして参加してもらいたい。」



名無しさん「!???イヤよ。」



須藤「婚約者としてじゃない。あくまでパートナーならいいだろ。」



名無しさん「だから私はムリだって言ってるでしょ。」




須藤「何故だ?」



名無しさん「だ・か・ら…」



そこで名無しさんの言葉の勢いが弱まり沖田の方に目線が移った。

沖田は名無しさんが困っている姿が面白くて様子を伺っていたが、その名無しさんの視線を感じ怪訝そうな顔をした。



沖田「???」



そんな沖田の方に名無しさんは勢い良く歩み寄り、腕を掴むと強引に須藤の前に連れ出した。そして、


名無しさん「私この人と付き合ってるの!だからあなたとは付き合えません。ごめんなさい。」



須藤&沖田「!???!」


名無しさんの爆弾発言に言葉を失う二人だったが、一呼吸置いて


沖田「てめぇなに言って!ぐほっ…」



沖田が否定する間を与えず名無しさんはわき腹の急所を肘で小突いた。そして沖田にだけ聞こえる声で



名無しさん(あんたはとにかく黙ってて!)


とだけ言うと須藤に向き直る。沖田突かれた痛みでうまく言葉を発っせない。



須藤「なんだって、君たち付き合っていたのか!?」



名無しさん「そうよ。私たち付き合っているの、だから貴方の気持ちには答えられないわ。」



須藤「そうだったのか…」



名無しさんの言葉に少なからずショックを受けた様子で須藤が呟く。



須藤「しかし、以前君はそう言った相手はいないと答えたが?」



名無しさん「それは職場恋愛だからあの場では公にできなかったのよ。」



須藤「なるほど。だが君たちはまだ結婚した訳ではあるまい。」



まだ諦めてない須藤に 名無しさんはここぞとばかりに一気に畳み掛ける。



名無しさん「確かに結婚はしてないけど、私たち将来を誓い合ったの。」



ようやく痛みが収まってきた沖田は更にとんでもない発言にツッコミをいれようとするが、



沖田「てめぇいい加減にっ」



名無しさん 「空気読みなさい!バシッ」



再び名無しさんに今度は鳩尾に一撃を入れられうずくまる沖田。



須藤「………」



名無しさんの発言に今度こそ須藤は言葉を無くした。



名無しさん「だから、貴方の気持ちはありがたいけど、これ以上私に構わないでちょうだい。それじゃあ仕事中だから。」



そう言うと名無しさんは沖田の首もとを掴み、ズルズル引きずりながらその場を離れる。
須藤が追って来る気配がないことに名無しさんは内心ほっと息を付いた。


名無しさん(嘘も方便、嘘も方便!これがお互いのためなんだわ。)




あるから数日。沖田と将来を誓い合ってる宣言をして以来穏やかな日々が続いている。



名無しさん「あぁーよかった。銀さんのいった通り効果覿面だわ!これにて一件落着!なーんてね♪」


晴れた空を気伸びしながら見上げ一人呟くがそこへ、


沖田「何が一件落着でさぁ、人を巻き込みやがって。慰謝料よこせ!このアバズレ。」



名無しさんの呟きに沖田が噛みついた。



名無しさん「何それ。むしろ感謝しなさい。嘘でも私と付き合ってるなんて言ってもらえたんだから!世の中の男子はみな泣いて喜ぶところなのに。」



沖田「はっ、悲鳴あげるの間違いじゃねぇか?」



名無しさん「何を〜💢」



いつもの事ながら一触即発の二人に土方が水を差す。



土方「おい!総悟、名無しさん!てめぇら二人ともちょっと来い!」



沖田「なんでぇい、これからってときに死ね土方。」



名無しさん 「そうそう、せっかくこいつしばこうとしてたのにマヨ中土方。」


土方「おめぇら自分の立場わかってるのか💢とにかく来い!おめぇらのせいで話がややこしい方にいっちまったんだからな!」



沖田&名無しさん「???」




客間に顔を出すとそこには数日振りに須藤の姿があった。




名無しさん(!!?)




須藤は一度名無しさんの姿を確認してから、今度はその後ろにいた沖田に睨み付けるように目線を合わし口を開いた。



須藤「真選組一番隊隊長沖田総悟。俺と名無しさんをかけて勝負しろ。」



名無しさん「!??」

驚き固まる名無しさんを余所に沖田は冷静に尋ねる。



沖田「勝負ってのは?」



須藤「勝った方が名無しさんと結婚できるのさ。」



すでに近藤と土方は須藤からその言葉を聞いていたらしく



近藤「この二人が将来を誓い合ってるって何かの間違いでは…俺たちそんな話一度も聞いたことが」

土方「そうだ。こいつら何かある度にお互いどつきあって何度屯所が塵になりかけたか。
所謂犬猿の仲って奴だ。てめぇの言ってることが俺らはまるでわからねぇ。」



近藤と土方の言葉にも須藤は



須藤「お二人が知らないのも無理はない。この二人が付き合っているのは職場恋愛のため内密だったそうだ。」



さらりと答える須藤に近藤と土方の顔が凍りつく。



土方「おい、お前ら…それは本当か?」


恐る恐る確認する土方に名無しさんがすかさず答える。


名無しさん「本当です。」



沖田「おい、おまえっ!」



名無しさん 「あんたは黙ってて!バキッ」



沖田を気絶させた名無しさんは話を続ける。



名無しさん 「だから私のことは諦めるように言ったのにまだ未練があるの?」



須藤「あぁ、今の彼の態度で更に確信したよ。名無しさん、君は彼に遊ばれているだけだ。」



名無しさん「なんですって?」



須藤「いくら職場恋愛だとはいえ、こうやってバレた以上付き合ってることをはっきり上司に言えないこと事態おかしいじゃないか。」



名無しさん「うぅ…彼は恋愛に関しては奥手で恥ずかしがり屋なのよ。」



須藤の最もな言い分に、気絶している沖田を庇いながら名無しさんが答える。



須藤「俺は君のことを愛してると公言できないような男に君を任せることなんてできない。
まして君に庇われているような優男にはな。」


自分を想う真っ直ぐな気持ちに 名無しさんは言葉を詰まらせる。



土方「それで総悟に勝負をしろと?」



須藤「そうだ。俺は俺が認めた男じゃない限り君を諦めるつもりはない。」



名無しさん「………。」




近藤「おっおれは武士として一人の男として感動した!!!
愛する人を一途に想う彼の気持ちは本物だ。その勝負受けなくては男じゃねぇ。」



土方「しかしいったいどうやって白黒つける?」



須藤「それについては俺にいい案がある。何勝負は公平だ。名無しさんへの愛に誓って不正などしない。
勝負は明日。迎えの者をよこす。その男にもあとで伝えておいてくれ。俺は本気で 名無しさんを愛してると。」



近藤「よし、わかった。武士として男として約束だ。」



名無しさん「ちょっと、私は一言も了承してないけど!」



土方「男と男の闘いに女が口挟むんじゃねぇ。」



名無しさん 「男と男ってこいつは気を失ってるだけじゃない!」



近藤「安心しろ。総悟はやるときはやる男だ。」



名無しさん「いや、そうじゃなくて…」



須藤「それじゃあ、名無しさん俺の真の愛でお前の目を覚まさせてやる。」



そう言い残し須藤は去っていった。部屋に残された名無しさんは


名無しさん 「もう、どいつもこいつも何で話聞いてくれない奴ばっかりなの💢!」




近藤「あの手のやつは一度走り出したら止まらねぇ。なぁトシ。」



土方「あぁ、身から出た錆だ。いくら断るためとはいえ、奴の前で総悟と付き合ってるなんて言っちまったんなら引き下がってもらうためにはもう勝負に勝って納得させるしかあるめぇよ。」



近藤と土方の言葉に名無しさん は驚きながら



名無しさん「二人とも、わかってたの?」



近藤&土方「もちろん。」



沖田「そりゃあそうでさぁ。っイテテ…俺とお前が将来を誓い合ってるなんざ、天と地がひっくり返ってもありえねぇ。
それよかとんだ厄介事に巻き込みやがってどうしてくれるんだこのメスネコ!」


ようやく目が覚めた沖田が話の流れを察して怒りを名無しさんにぶつける。


名無しさん 「ここまで来たらやるしかないでしょ!あんたに頭下げるのは癪だけど今回のことは私が巻いた種だし、本当に申し訳ないと思ってるわ。」



沖田「本当にいい迷惑だ。」



名無しさん「それは本当に悪かったわよ。」



沖田「おめぇは謝り方知らねぇのか。」




沖田がここぞとばかりに黒い笑みで迫る。



名無しさん「ホントウニスイマセンデシタ。ドウカ勝負に勝ってください!」



沖田「心が籠ってねぇ。もう一度。」



名無しさん 「💢だからどうもすいませんでした。勝負に勝ってください!この通りデス。」



沖田「どうしようかなぁー」



名無しさんの反応をニヤニヤ伺いながら楽しむ沖田。



名無しさん 「💢💢💢!!」



近藤「まぁまぁ、総悟俺からも頼もう。このままじゃ名無しさんちゃんは不本意な相手と結婚しなくちゃいけなくなるからな。」



土方「そうだ。せっかく入った貴重な戦力失っちまう。ここは上司としてお前が責任もって名無しさん の面倒見やがれ。」




沖田「へぇいへぇい、仕方ねぇな。おいメスネコ!俺が勝ってやるからお前は当分俺のパシりな。」



名無しさん 「何ですって?」



沖田「おいおい、お前立場わかってんのか?今回のことに関しては俺はむしろ被害者なんだぜ。」



名無しさん 「うぅ…わかったわよ!パシりだろうが、何だろうかやってやるわよ!その代わり絶対に勝ちなさいよ!」



沖田「よしよし、散々パシってやるから覚悟しときなせぃ。」



名無しさん (勝っても負けても地獄じゃない💧)



名無しさんは心の中で叫ばずにはいられなかったのであった。
次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ