銀魂夢

□出会い2
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近藤「いやぁ〜本当にごめんね汗」



名無しさん「ええ!本当に!」ニコ💢




先程から幾度となく繰り返されている光景。ここは真選組の屯所の客間。一人はペコペコと頭を下げ、もう一人はそんな姿に目もくれず仏頂面で頬づえをつきながら茶菓子として出されたせんべいをバリバリと音を立てて頬張っている。




近藤「間違いとはいえ大変失礼なことをした!」




土方「まさかお前が…」





近藤「てっきり君も攘夷志士の一人だと勘違いして…」




名無しさん 「それってなに?勘違いすれば無実の女の子にバズーカぶっ放して、網でぐるぐる巻きに縛ってブタ箱ぶち混んでも許されるってこと。」





近藤「いや、そういう意味で言ったつもりじゃあ…」



名無しさん 「じゃあどういうつもり?教えてくれる。こっちはただでさえ一日中ムサいブタ箱で取り調べ受けて、精神的苦痛でどうにかなりそうなんだけど!」




土方「それは悪かった。誤逮捕だったことは詫びる。」




近藤も土方も無実な上さらに助けた側の彼女にしてしまった仕打ちに罪悪感を強く感じている。しかし沖田がやって来て水を差した。




沖田「近藤さんも土方さんもそこまでその女に謝る必要ないですぜ。」




突然の割り込みに名無しさんの鋭い視線が沖田に向けられる。




名無しさん「そもそもお前のせいなんだけど。」




沖田「何人のせいにしてんだ、メスネコ。もともとてめぇが密入国してなけりゃこんなことにはなってないだろ。」





名無しさん「人にはそれぞれいろんな事情があるの。それと私 名無しさんって名乗ったわよね。もう忘れたの?単細胞バカ。」




近藤「まぁ、確かにいくら人助けをしてくれたとはいえ密入国は犯罪だな。」




土方「あぁ、近藤さんのいう通りだ。そこはきっちり取り締まらせてもらうぜ。」




名無しさん「えっー!良いことしたのに罰を受けるのぉ〜」




そんなぁとしょげる名無しさんに沖田が黒い笑みを向ける。




沖田「メスネコには臭いブタ箱がお似合いだな。」




名無しさん「なんだとこら!もういっぺんいってみろ!チンピラワンコ!」




沖田の物言いに飛び掛かろうとした名無しさんを近藤が諌める。




近藤「まぁまぁ、名無しさんちゃん落ち着いて。もし良ければ君がなぜ不法入国までしてこの星に来たのか、君は何者なのか教えてもらえないかな?」




近藤の言葉に反応し名無しさん はピタリと拳を止め、真顔で近藤の方を見つめる。



名無しさん「話したら釈放してくれる?」



 
土方「それはわからねぇ。」






名無しさん「…」




土方「しかし恩赦はできるかも知れねぇ。」




名無しさん (!!!)




土方の言葉に 名無しさん は観念したかのように姿勢を正しゆっくりと経緯を話はじめた。






名無しさん 「私は夜兎よ。地球へは行方不明の師匠を探しに来た。」





名無しさんの言葉に土方は納得して




土方「やっぱりおめぇもあのチャイナっ娘と同じ夜兎か」




名無しさん 「だれそのチャイナっ娘って?」




沖田「万事屋の旦那のところで働いているバカチャイナでさぁ」




名無しさん 「万事屋?」




近藤「何でも屋みたいなもんだよ」




名無しさん 「なるほど。その子も夜兎なの?」




沖田「そうでさぁ。てめぇと同じ、色白でバカ力で大飯ぐらいでさぁ。」





名無しさん 「そう。夜兎はみんなそんなもんよ。」





沖田の嫌みにも名無しさんは素知らぬ顔で答える。




名無しさん「ただし、私は純血の夜兎じゃないからそこまで日の光に弱いわけでもないし、大食いでもないわ。傘も日除け程度よ。」





沖田「その割にはすげぇバカ力だな。」




名無しさん「キャンキャンうるさいなぁ。チンピラワンコはハウス!」





沖田「なんだとこのくそアマが!」





土方「総悟とりあえず刀に伸ばした手を納めろ。」





近藤「 まぁまぁ落ち着いて、ゆっくり話を聞こうじゃないか。それで 名無しさん ちゃんの師匠は?」




名無しさん「私の師匠は夜兎ではないけど、すごく強くて私に武術を叩き込んでくれたのは師匠なの。」





土方「夜兎のお前より強ぇのか?」





名無しさん 「私なんてまだまだ、師匠の足元にも及ばないわ。」





近藤「へぇ〜それは一度お目にかかりたいもんだなぁ。」





名無しさん 「師匠とは私が一人前と認められて別れて以来会ってないんだけど、定期的に連絡は取り合ってたのよ。でもそれがここ数ヵ月全く取れなくて…」





近藤「それは心配だな」





名無しさん 「それで最後の通信場所を探ったら地球だったの。だからこの星にくれば何か師匠の手掛かりがあるかと思って」




名無しさん の真剣な表情に納得の意を示す近藤の横で土方は腑に落ちない顔つきで 名無しさん に話しかけた。




土方「この星に来た理由はわかった。がそれと不法入国とは別だな。なぜそんなことしたんだ?」




名無しさん「それは…その」





気まずそうに言葉を詰まらせた 名無しさん は一呼吸置いた後



名無しさん「春雨って知ってる?」




一同「!?」





名無しさん の言葉に一同強く反応する。




土方「あの宇宙一の犯罪シンジケートだろ」




近藤「春雨と何か関係が?」





名無しさん「実は春雨の第3師団とやり合ってちょっとね。」





ごまかすように笑う名無しさん を土方が問い詰める。





土方「待てそれじゃあ意味わかんねぇぞ!いったいお前そいつら相手に何やらかしたんだ。」





名無しさん「何ってそりゃあちょっと壊滅させただけじゃない。」





一同「!!!」

 




一瞬の沈黙のあと土方がすかさず 名無しさん に突っ込みをいれる。





土方「おい!ちょっとの使い方間違ってるぞ!何がちょっとだ!」






名無しさん 「いやさ、私も最初はそこまでする気全くなかったんだけどね。どうしても気に入らなくて気づいたら壊滅させちゃってた♪」






土方「気に入らないだけで壊滅させるってどんなけヤバいんだよお前!」





名無しさん 「そうかなぁ。私は常識人だと思うけどなー。」





近藤「名無しさん ちゃんは一体何が気に入らなかったんだい」





近藤の一言に笑みが消えて





名無しさん 「人身売買」




とだけ言い放ちお茶をすする。





土方「それで春雨に喧嘩吹っ掛けて壊滅させてお尋ね者になったと?」





名無しさん「そうなのよ。まぁお尋ね者はあちらさんもだけど、何せ一応宇宙最大の犯罪組織でしょ。その網の目もすごくて。」


 

近藤「それで足取りを掴まれないよう密入国したわけか。」






名無しさん 「ご名答!私の首あいつらには高値で引き取ってもらえるわよー。」



 
土方「全く、大した大バカヤローだな。」



 

名無しさん 「私は自分の思うがまま生きてるだけなのにホント迷惑よねー」
    




沖田「それで宇宙最大の犯罪組織を敵に回してんだから訳ねえな。」






名無しさん「お誉めの言葉ありがとう。」







近藤「ワッハッハッ!」



突如近藤の大きな笑い声が客間に響き渡った!皆驚いて一斉に近藤の方へと目線をやると




近藤「行きなり笑ってすまなかった。だがしかし、気に入った!君のその自由奔放な生き方聞いてて気持ちがいいじゃないか、なぁトシ?」





土方「ふっ、まぁやってることは大バカヤローだがバカもここまで来ると清々しいな。」




近藤「だろ!今回の件にしろ、密入国にしろ確かに身から出た錆びかもしれんが、自分が不利益になる可能性があるのにそんなこと省みず飛び出せる奴はなかなかいねぇ。
俺はあんたのこと気に入ったよ!どうだいあんたの身この真選組に預けてみねぇか?」





名無しさん 「はっ?」




突然の近藤の申し出に固ま名無しさんを尻目に土方はこの事を予見していたようで、





土方「はぁ近藤さんならそういうと思ったぜ。」
   



名無しさん「あんたたち正気なの?」





沖田「てめぇの頭よりは正気だぜ」





名無しさん「正気だったら大バカヤローよ。」






近藤「そうだ。その大バカヤローの集まりがうちだからな。なぁトシ、総悟!」





土方「あぁ、ここにはバカか大バカヤローしかいねぇ。だから大バカヤローが一人増えようが、二人増えようが変わりねぇ。」





土方「それにおまえが師匠とやらを探す上でも真撰組にいたら情報が入ってきやすい。総悟と互角にやりあったお前の腕は買っている。期待してるぜ。」



沖田「そういうことでせぁ。おらあ二人ほど優しくねぁぜ。せいぜいこきつかってやるから覚悟しな。メスネコ。」





三人の言葉に拳をぐっと握り下を向いていた 名無しさん が顔をあげる。




名無しさん 「私こう見えて給料分はきっちり働く性質なの!かなりの優良物件だと思うわよ。ありがたく思いなさい!」




そういうなり恥ずかしかったのか、またプイッとそっぽを向いてしまった。




近藤「決まったな。」




土方「はぁ〜これからまた騒がしくなりそうだ。」




沖田「使えそうな下僕が一人増えただけでさぁ。」
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