ぬらりくらり

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あれから2週間経過していた。
総大将である二代目を失った奴良組は隠居していたぬらりひょんが代理をすることが緊急総会で決まり少しずつ元に戻り始めた。
葬儀も終わり屋敷の者たちは後はいまだに眠り続けている亡くなった鯉伴が命懸けで守った陽菜が目を覚ましてくれればと思っている。

陽菜の部屋では若菜と世話係たちが交代で昏睡状態の陽菜の傷口の包帯の交換や体を拭いたりと世話をしている。
鴆が様子を何度も見に来て薬の追加を煎じてくれたりしている。
世話しながらも陽菜の世話係三人はあれから後悔ばかりしていた。

散歩に行くという鯉伴を止めようとした時にちゃんと止められたら…
せめて誰か1人でも付いていけば幼いこの子がこんな目には合わせずに済んだかもしれないと自分たちを責めた。

起きてしまったことは仕方ないから今は自分たちにできる看病をこのまま続けていれば目を覚ましてくれるはずだと願っている。

「あれから…もう2週間か…」
「そうだな…」
部屋には首無と黒田坊。
毛倡妓は夕食の支度にと数時間前に部屋を出て今は台所にいる。
「はるな…まだねるの?
はやくおきてあそぼうよ!」
「若…陽菜様はまだおやすみ中なんですから無理を言ってはいけません」
そして今はリクオと氷麗もいる。
リクオは毎日陽菜の部屋にこうして遊びに来ては話しかけている。
「若…姫が起きるまでもう少し待ってあげて下さい」
「くびなし…」
「それにそろそろ夕食の時間ですから
若もお手伝いしてきてはいかがですか?
なにせ数が多いので」
「うん!そうする」
バタバタと走って行った。
「若〜!待って!!」
氷麗も追いかけて行く。
「若は元気だと…早く陽菜様に見せたいものだな」
「そうだな…」
















夜…リクオが眠り夜中のことだった。
「鴆様!!」
「何だ首無か!どうした!?」
「姫が…姫が!」
「陽菜がどうした?」
「姫が!目を開けたんです!!」
「本当か!?」
「はい!」
鴆は部屋に向かう。

それは数分前のこと。
世話係三人が揃って陽菜の部屋にいた時だった。
ピクッ…ピクッ…
「「「!?」」」
眠っている陽菜の指が微かにだがピクッと動いたのだ。
「姫!?」
首無は陽菜の指を改めて見る。
微かにだが動いている。
閉じていた瞼が少しずつゆっくりと開いていく。
『……』
「姫!?」
「陽菜!?」
「陽菜様!?」
三人は慌てて声をかける。
『…ぅぅ…』
反応がある。
ボヤける視界で自分を見ている見知った妖怪たちが見えた陽菜。
『…くび…し……け…っ…じょ…ろ…
く…ろ……っ…』
「姫!!」
「陽菜!!」
「陽菜様!!」
あれから2週間も眠り続けていた陽菜が目を覚ましたのだ。
「はッ!鴆様を急いで呼んでくる!!」
首無が立ち上がる。
「あぁ…はっ!総大将たちに知らせて来なければ!!」
黒田坊も知らせなければと立ち上がる。
そして首無と黒田坊は慌てて部屋を飛び出した。
『こ…こ…?』
「陽菜の部屋よ」
毛倡妓は陽菜に水を少し飲ませた。
水を飲んだおかげが喉の乾きが少しよくなる。
『あり…がと…』
少ししゃべりやすくなったようだ。
「今…鴆様を呼びに行ったから少し待ってな」
『う…ん…』
「よかったわっ!陽菜」
『け…じょ…ろ……』
バタバタ…ガラッ!
首無が鴆を連れて来た。
鴆は陽菜の様子を見る。
「どっかいてぇとこあるか?」
『ぅー…か…ら…だ…が…い…た…いっ…』
「そりゃあ刀で切られて刺されたからいてぇだろうな
怠さはあるか?」
『けほっ…あ…りゅっ』
「そうだろうな…ずっと眠っていたからな」
「鴆様…姫は大丈夫ですか?」
「しばらくは絶対安静にして様子を見ねぇことにはなんとも」
「そうですか…」
バタバタ…バタバタ…
何やら騒がしい足音がする。
ガラッ「陽菜!!」
「「「総大将!?」」」
それはぬらりひょんと幹部たちが部屋にやって来たのだった。
続いて黒田坊が戻った。
「陽菜が目を覚ましたじゃと!!」
「はい」
ぬらりひょんは布団に近寄る。
『おじ…い…ちゃん…』
「陽菜!!よく無事じゃった!!」
『ただ…いま…』
「おかえり陽菜」
『あ…の…ね…
まっ…くら…な…か…わ…を…ある…いて…たら…おんな…の…ひと…が…いっちゃ…だめ…だよ…って…』
「女の人?」
『さく…ら…の…きもの…の…おんな…の…ひと…』
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