ぬらりくらり

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『はぁはぁ…いやぁ!!』
そこで飛び起きた。
いつもの夢とは違う意味で怖かった。
いつもは父親しか倒れないのにさっきは自分が刀に刺された。
「大丈夫か?陽菜」
『おとうさん…?』
鯉伴がいた。
『くびなし…たちは?いないの?』
「ちょっとな
怖い夢でも見たのか?」
『うん…』
「そうか…」
こればかりはどうしょうもない。
「明日、リクオと散歩の約束してんだが行くか?」
『いく!!』
さっきの夢が気になり父親と一緒にいたかったから陽菜は行くと返事をした。
「なら決まりだな!」
『うん』
そう約束をして陽菜はまた寝た。



















「明日散歩に陽菜を連れていく」
「待って下さいよ二代目!
護衛を付けずに出かける気か!」
「陽菜の気晴らしなんだぞ!
俺がいるんだから何かあっても大丈夫だろ?」
「そうだが…何かあったらどうする気なんだ!!」
「うるせぇよ首無…」
「二代目!!」
「諦めな首無…鯉伴はこう言い出したら聞かないじゃないか…」
毛倡妓がそう言った。
「だが…」
「何かあればすぐに知らせていただけるなら許可します」
「黒田坊」
「陽菜様は多分まだ体調が良くない…
あまり無理をさせたくはないからな…ほどほどに」
「分かってる」
首無が渋ったが三人も陽菜が少しでも気晴らしになればいいと願った。





















「はやくはやく!はるな!」
『まってよ…リクオ…』
「リクオ!
あんまり陽菜に無理させんな!
俺が首無たちに叱られるじゃねぇか!」
「えー!」
『え?おとうさん…しかられるの?
くびなしやくろに?』
「あいつらお前が大好きすぎるからな」
『わたし!
くびなし、くろ、けじょうろう、やしきにいるみんなだいすきだよ!!』
「そうか」
「ぼくだって!」
「そうかそうか」

神社までやって来た。
「あんまり走ると転ぶぞ!」
「はーい!」
元気よく走っていくリクオ。
「分かってねぇだろうが!」
リクオだけが先に行ってしまったが陽菜の体調に合わせて鯉伴はゆっくり歩く。
「疲れてねぇか?」
『うん…でも…かえりはおんぶしてね…』
「ああ分かってる」
神社に着くとリクオは女の子と遊んでいた。
「リクオ?その子は?」
「いっしょにあそんでくれてるの」
「…っ!!」
鯉伴が女の子の顔を見て立ち止まった。
陽菜は不思議に思い父親を見た。
鯉伴は驚いた表情をしていて陽菜は気になった。
だがそれも一瞬の事で鯉伴は女の子とリクオの元へ。




少しして神社の境内の山吹が咲く場所にやって来た。
「あ!あれなんだろう?」
リクオは何かを見つけたのか鯉伴たちから離れた。
『おとうさん!
このきいろのおはなってなに?』
「ん?山吹って言うんだ」
『やまぶき?きれいなきいろだね』
「そうだな…
山吹…七重八重花は咲けども山吹の実のひとつだになきぞ悲しき…」
鯉伴が何か言っている。
「あの後…花言葉を調べたっけな
花言葉は…気品、崇高、そして…待ちかねる…
ふっ…まるで俺たちの娘みてぇじゃねぇか」
近くで鯉伴の言葉を聞いていた陽菜だが父親が何のことを言っているのか分からなかったので首を傾げた。
「おとうさん!」
リクオが戻って来る足音がする。
鯉伴はリクオの方を向く。
ドクン…ドクン…
陽菜はとても嫌な気持ちになり動悸が治まらない。
まるでいつもの夢の中に自分がいるかのようだ。
ガサッ
女の子が刀を持っているのが陽菜は見えた。
女の子はそのまま鯉伴に向かっている。
陽菜は嫌な予感が当たったと思った。
陽菜は父親がまだ女の子の異変に気付いていないのが分かり普段そんなに早く走ると体調が悪くなるが今はそれどころではないと一生懸命走った。
だが間に合わない。
グサッ
女の子が持っていた刀が鯉伴を背中から刺した。
そして
刺された鯉伴はその場に倒れた。
止めを刺そうとする女の子の手を陽菜は必死に止める。
『リクオ!
だれかうちからよんできて!
おじいちゃんでもくびなしでもくろでもだれでもいいから!!』
「え?はるな?」
『いいから!はやく!』
「うん!」
リクオは慌てて陽菜に言われたように家に向かって走り出した。
「陽菜…」
鯉伴は薄れゆく意識の中女の子の立ち向かう陽菜を見た。
「離せ!」
『いやっ!おとうさんをころさないで!!』
「(逃げろ…陽菜…)」
女の子が陽菜を必死に振り切ろうともがく。
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