ぬらりくらり

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花開院からの手紙から数日後…。
陽菜の容態はあまり良くはなかった。
『こほっこほっ…』
陽菜の健康には首無たち世話係が気をつけていたが元々体が弱い陽菜は風邪を引いてしまったらしく高熱といつもの咳の発作を起こし鴆が煎じた薬により落ち着いてきてはいるものの熱に魘されて眠っていても息苦しい呼吸と咳をくり返し首無たち世話係が看病に追われていた。
リクオは相変わらず元気に庭を走り回り妖怪たちを困らせていた。















とある日、リクオが眠りついた頃に屋敷の門の前に人が訪れた。
幹部妖怪とぬらりひょんだけが門でその人物を待っていた。
「遠いところわざわざすまないのぅ花開院の陰陽師」
「いや構わん
まさか生きてるうちにこうして魑魅魍魎の主と会うことになろうとは驚いたのぅ」
「ゆっくりと世間話をしたいところだが…そうもいかん」
「相談にあった孫娘の様子はいかがか?」
「時間との戦いだ…
先日から風邪を拗らせていてかなり衰弱している…」
「そうか…」
「総大将…そろそろ」
「あぁそうじゃな
さぁ入られよ」
中に入っていく。
「他の妖怪たちにはお主の訪問のことを知らせとらんし女狐との因縁もほとんどが知らん…
今日の訪問を知るのはここにおる者たちと孫娘の陽菜の世話係と薬師を担当しとる妖怪だけじゃ
だが、女狐を直に見とるのはほぼここにおる者だけじゃ…
まぁ小妖怪も知っておるが実際そんなに戦いに参加していたわけではない
それにあれから世代交代しとるのもあってのぅ
だから他の妖怪の前では言わんでくれ」
「そうか…分かった
時代の波というものは仕方ない…
花開院も似たようなものだ
いや…ここよりひどいのかもしれん」
「どういう意味じゃ?」
「羽衣狐ほどの強敵を相手にしたことがないというのが大きいのだ…
わしかてそんな強敵と戦いになったことがないから平和ボケもいいところだ」
「そうか…」













部屋に着く。
「ここじゃ」
中に入ってみると眠る少女を囲むように世話係と鴆がいた。
「総大将」
首無がぬらりひょんたちに気づく。
黒田坊たちも気づく。
「こやつが先刻話した花開院の陰陽師だ」
「そうですか」
「陽菜の様子は?」
「相変わらずです」
「そうか…陰陽師
この子が手紙に書いた孫娘の奴良陽菜じゃ
まだ4歳の幼子だ」
「4歳…
わしの孫娘と同じ年か…」
「元々体が弱い子じゃがあの事件の日から更に病弱になった…」
「そうか…
それで手紙にあった気になる痣とは?」
「鴆」
「はい」
ぬらりひょんに言われ鴆は陽菜の胸元の傷を見せる。
そこには変な印のようなものがある。
「これは見るからに呪詛の一種に間違いない
印の場所が痛むことがないか?」
「ある
事件後に目が覚めてすぐにその症状があったし今でも続いている」
「なるほど…
このような呪いは仕掛けた者に解かせるかその者を殺すしか消えん類いのものだ
札などを使って呪詛の効力を薄めるくらいの処置はできるはずだ」
「本当か!?」
「そうじゃ
だが完全に消すことができない為にこの子は一生その身に呪いを受けたままなのじゃ…
病弱なのならいつまで耐えれるのかはわしでも分からん
仕掛けた者を見つけ出さない限りはこのままじゃ…」
「そうか…」
「だが札の使用のせいでもしかしたらこの子自身や屋敷にいる妖怪たちに何かしらの影響があるかもしれんがそれでもやる気はあるかのぅ?
魑魅魍魎の主」
「やってくれ
可愛い孫娘を救う手立てがあるなら何をしても助ける
鯉伴が…亡くなったこの子の父親である二代目が必死に守り抜いた孫娘の命を助けることができるのなら何でもする」
「分かった
呪詛の詳しい種類が分からない為にあくまでも簡単な措置にはなる
部屋の四隅に四神を模したそれぞれの札をそれぞれの方角に貼り簡単な結界をこの部屋に施す
結界内にいれば呪いの効力を薄めることが可能だ」
「分かった」
「そして孫娘の陽菜ちゃんだったかの?
この部屋から出る時に必要になるのが同じ札をお守り袋に入れた物を用意することじゃ
そして肌身放さずに所持してもらえばそのお守り自体が同じ効力を発揮するものだ
ただし、式神と同じく破ければ効力が発揮できなくなるから気をつけて扱うように」
「分かった」
札を四隅に貼り、お守り袋に札を入れた。
「これでいいじゃろ
気休め程度のことしかしてやれんで申し訳ないな魑魅魍魎の主」
「いや気にせんでえぇ
わしらは何もこの子にできず歯痒く思っていたからのぅ…」
「そうか…」
「いくら昔に陽菜にとっては祖母にあたる珱姫が花開院に守られていた能力持ちの姫だったため花開院と顔見知りな縁があるとは言え陰陽師をこうして頼る結果になろうとはな」
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