ぬらりくらり

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陽菜は離れまいと必死だ。
『おとうさんをころさないで!』
「邪魔だ!」
ザシュッ
『…っ』
女の子が陽菜を持っていた刀で切りつけた。
陽菜の体は地面に倒れた。
「陽菜っ!」
鯉伴は残る力を振り絞り陽菜を抱きしめる。
グサッグサッ
女の子はその隙を突き鯉伴を鯉伴に抱きしめられた陽菜ごと刀で刺した。
「いやー!!!!」
すると女の子が悲鳴を上げた。
「いやー!!鯉伴様!!」
「あひゃひゃ!そうじゃそうじゃ悔め女…自ら愛した男を刺したんじゃぞ!
そしてその男の子供までな!
偽りの子供の姿でな!」
草木の間から変な目玉が言った。
薄れていく意識の中鯉伴は目玉の言葉を思い返す。
「(自ら…愛した男…偽りの子供の姿…やはり…こいつは…)」
そこで鯉伴は息を引き取った。

「そうじゃ…わらわは待ちかねたのじゃ!この時を!」
『おとう…さん…さしたの…だれ?…
そこに…いる…のは…だれ?』
「何じゃ?まだ意識があったのかこの娘…」
『おと…さ…』
「にっくきぬらりひょんの孫娘か…また人と交わったか」
陽菜は薄れゆく意識の中父親の刺された傷に手を伸ばす。
『お…と…』
ボワッ
「何じゃ!?」
陽菜の手が淡く光り鯉伴の傷が少し薄くなる。
「これは…あの時の姫の力…そうかそうか…孫娘お主…あの姫の力を継いだか」
だがすぐ光は消えた。
「いずれこの娘も死ぬ…惜しいものよ…
死にゆく娘よ
恨むならお主の祖父ぬらりひょんを憎むがいい」
そこで陽菜は意識を失った。
「力尽きたか…勿体ないことをした…
力があったのならさぞうまい生胆であっただろうに…死に際の生胆はうまくはない…」
「羽衣狐様
にっくきぬらりひょんは息子と孫娘のこの有様にさぞ悔しがることでしょう」
「そうだのぅ」
「おや?この孫娘まだ死んではいない…
あひゃひゃ!いいことを思いついたわい」
「ほどほどにのぅ鏖地蔵
もし生き抜けばこの娘は時が来たら喰らうのだから」
「では…せめて死なない程度の毒でマークでも付けておくかのぅ」
















首無side
慌てたように若が帰って来た。
「若!おかえりなさい
おや?お一人ですか?」
「はあはあ…だれでもいいから!
はやくおとうさんをたすけて!!」
「え?」
リクオは父親が何者かに刺されたと言った。
自分に家から誰かを呼んできて欲しいと陽菜に頼まれここまで来たけどその場に陽菜が残っていると説明した。
鯉伴は助からないかもしれない・・・。
それどころかその場に刺した人物がいたはずだがリクオは無事に家に来れたがそこの残った陽菜は危険だということになる。
首無は急ぎ屋敷の妖怪たちにリクオが言っていた神社へ向かうように指示しある者には鴆を呼ぶように指示した。




「鯉伴!姫!」
先に来ていた妖怪たちに駆け寄る首無。
そこには大量出血が死因と思われるすでに息を引き取った鯉伴とその鯉伴に守られたように抱きしめられ同様に出血が多い陽菜の姿だった。
首無は鯉伴から陽菜を離す。
「姫!?しっかり!!」
呼びかけるも返事はない…。
首無と共に陽菜に駆け寄った黒田坊は出血以外の異変に気付いた。
「まさか…」
「どうした?」
首無は黒田坊声を掛ける。
「毒かもしれない…」
「え?」
「ここ…紫に変色している部分がある」
「確かに!」
「少量のようだが…早く処置をしなければ陽菜様が危険だ!!」
「黒…先に屋敷に姫を!
俺は後から来る者たちに説明をする」
「承知!!」
黒田坊は急ぎ陽菜を抱えて屋敷に戻る。
行き違いにぬらりひょんや幹部がやってきた。
「…っ!」
ぬらりひょんは鯉伴を見て驚いた。
ちょうどすれ違った陽菜の状態とここにいる鯉伴の様子からただごとではないと確信した。
「何てことだ…二代目と姫様が」
幹部たちも驚く。
「鯉伴ほどの奴が…簡単にやられたとは…」
「我々が来た時には敵はいなくなっていました…
若は少女がいたことしか覚えていないようです」
首無はぬらりひょんにそう言った。
「陽菜がとっさにリクオをこの場から遠ざけたのじゃろ…
すべてを見ているのは陽菜だけだのぅ」
「はい…」
「カラス」
「はっ!」
「緊急総会を開く!招集を」
「かしこまりました」
鴉天狗は慌ただしく飛んでいく。



















一方治療中の陽菜はかなり危険な状態であった。
毒は鴆の解毒のお陰でなんとかなったが出血が酷く油断できなかった。
首無side…END
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