ぬらりくらり

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謎の悪夢を見るようになり陽菜は魘されて1回は起きてまた寝るという二度寝が何日か続いた。
最近ではそのせいか体調を崩しつつあった。
体調が良く起きている間は鯉伴から離れないこともあったり出かける鯉伴を心配そうに見つめることもあり陽菜の世話係で交代しながら陽菜の様子を見ているが首無は心配になってきていた。


『ぅっやぁ…!』
また今夜も熱により魘されて飛び起きた。
「大丈夫かい?陽菜?」
今日の当番は毛倡妓。
「また見たのかい?」
頷く陽菜。
今まで頑なに夢の内容を世話係たちに聞かれても教えなかった陽菜だがこの日は違った。
『たおれちゃう…しんじゃうかも…』
「え?」
『おとうさんが…』
「そんな夢だったのかい?」
『うん…』
「もしかして…毎日同じ夢!?」
『うん…ちょっとちがうひもあるけど…いつもいっしょっ…』
だから最近父親の鯉伴から離れなかったり出かける父親を心配そうに見ていたのかと納得する毛倡妓。
陽菜は毛倡妓に夢の内容を伝えた。
「その為にあたしらがいるんだろ?
体調も悪いし…今はゆっくり休みな」
『うん…』
そう言ってまた寝始めた。
「どうだ?陽菜様は?」
黒田坊が部屋に入るなり毛倡妓に問う。
「いつもと同じさ」
「そうか…」
「だけど…どうやら怖い夢ってのは毎日同じ内容らしい」
「どういう意味だ?」
「さっき陽菜が内容を教えてくれたんだよ
今まで何回聞いても内容を教えてくれなかったのに」
「本当か!?」
「でも…どうやら鯉伴が関係あるみたいでさ」
「二代目に関係するのか?」
「ボソッと陽菜が言ったのよ
鯉伴が倒れるって」
「!?」
「違う時もあるけど鯉伴が倒れるのは見るらしいんだよ」
「だから最近あんなにべったりな訳か」
「多分ね
首無と鯉伴が戻ったらこのことを伝えるつもり」
「分かった」
二人が少しして帰って来た。
門の前に毛倡妓と黒田坊がいて鯉伴と首無を待っていた。
「なんでぇ…
おめぇら揃ってどうかしたか?」
「陽菜のことで報告があるんだよ」
「まさか!体調が悪くなったとかか!?」
首無は度々体調が悪くなる陽菜の体調が最近の様子から更に悪くなったのではと心配になる。
「いや…特に変わらない
相変わらず熱がある」
「ならどうかしたか?」
「いつもの魘されてる夢のことで二人に話があるのさ」
「まだ続いてんのか!?」
鯉伴は首無たちから話には聞いていたがそれがすでに2週間は続いていることに驚く。
「陽菜がさっき夢の内容をボソッとだけど教えてくれたんだよ」
「本当か!?
今まで何回聞いても内容を教えてくれたなかったのにか!?」
「どうやら怖い夢っていうのは間違いないらしい」
「内容は!?」
「場面が違う時もあるらしいけど必ず飛び起きるタイミングで見るのは…
鯉伴が倒れる瞬間らしい」
「俺?」
鯉伴はまさか内容に自分が関係するとは思っていなかったので驚く。
「たまに血を流して倒れる鯉伴の夢もあるらしくて…」
「だから最近…心配そうに俺を見ているんだな
だから離れず引っ付いてんのか」
最近の陽菜の行動に納得した。
「さっき魘されて飛び起きた時にあの子が言ってたんだよ
【お父さんが死んじゃうかも】って」
「そうか…」
「夢ねぇ…
昔のあいつみてぇな能力があるのかもしれねぇな」
「昔?もしかして二代目
それは桃花様のことか?」
「あぁ…あいつもガキの頃によく怖い夢を見るって言ってたことがあったからな
もしかしたら陽菜にもそれに近い能力があるのかもしれねぇな」
「なるほど」
「とりあえず夢で分かっているのは…
鯉伴が倒れることだけなんだよね」
「そうだな」
「とりあえずこのことは他の連中にはまだ言うな!
ここにいる俺らだけの秘密だ
他言するな」
「分かった」
「了解」
「承知」

















翌日の夜、陽菜はいつもより長い夢を見ていた。
『ここ…どこ?』
まわりを見るとたまに父親や弟と散歩に行く近所の神社だった。
「あ!あれなんだろう!」
リクオの声がする。
リクオ以外にも父親も側にいる。
陽菜はリクオを追いかけようと思って歩き出すといきなりグサッという音がした。
その音がした方に向くと父親の胸には刀がある。
『おとうさんっ!!』
陽菜は倒れる父親に小走りで駆け寄る。
いつも夢で父親を刺す刀持つ黒いものが見ている陽菜に気付いたのかこちらにやって来る。
グサッ
『うっ!』
黒いものにより陽菜は父親と同じ刀で刺された。
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