ぬらりくらり

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『おぎゃー』
無事に子供が産まれた。
しかも…
「おぎゃー!!!!」
女の子と男の子の双子だった。
「産まれました!!
姫様と若様でございまーす!!」
「おー!!」
知らせを聞き屋敷中大騒ぎ。
めでたいから宴だぁと喜ぶ者たちまでいた。
鯉伴とぬらりひょんは母子の元へ。
「よく頑張ったな若菜」
「本当にのぅ」
「この子たちも頑張ってくれましたから」
「そうかい」
産まれた子たちは若菜の横に仲良く並び眠っている。
「髪色は分かれたようだのぅ」
「確かにな」
先に産まれた女の子は父親と同じ黒色。
男の子は父親と母親の両方のようだがどちらかと言えば母親の茶色だ。
「男の子は元気そうじゃし、将来安泰だのぅ鯉伴」
「親父、俺は将来どうしたいのかはこいつらに選ばせてやりてぇ
4分の1でも妖怪の総大将の親父の血を継いだんだ
妖怪であるべきか人としてあるべきか選ぶ自由は与えてぇから」
「それまではお前がしっかりしてりゃあ…わしは文句はねぇ」
「そうか」
「名前はどうしましょうか?
産まれた子を見て決めようと鯉伴さんとは相談してましたから」
「そうだのぅ何がいいか」
「男の子ならなんとなく決めてはいたが」
「なんじゃ?」
「リクオ」
「リクオ?」
「クォーターだからです」
「なんじゃひねりのない」
「人のこと言えんのかよ親父?
俺には半分だからってつけたくせに」
「あれは珱姫が決めたんじゃ
分かりやすいだろってのぅ」
「別にいいと思いますけどリクオで」
「若菜さんがえぇなら」
「女の子は悩んでんだよな
若菜の菜は入れてやりたい気が…」
「女の子じゃしな
やっぱり可愛い名じゃないとのぅ」
「ってか親父は早速爺バカか?」
「初孫じゃぞ
嬉しいに決まってるじゃろ」
「の割には男の子はどうでもよさそうじゃねぇか!?」
「男の子は数年くらいしか可愛くないからのぅ
物心つけばやんちゃし始めるに決まっておるからのぅ
その分女の子なら長く可愛がることができるからのぅ
だが…珱姫に似てきたらどうしたらいいかのぅ
いきなり嫁にいきますなんて言われたらわしは泣くぞい」
「そうかいそうかい
まぁ確かにそうなったら俺も嫁には出せねぇわな」
「そうじゃろそうじゃろ」
「お二人ともまだ産まれたばかりなんですからそんなに先のことを考えなくても…
それよりまずは名前ですよ」
「そうじゃな」
「よし、決めたぜ
陽菜だ」
「「陽菜?」」
「別にだいぶ前に亡くなった妹みてぇに花の名前でも女の子らしくいいとはもちろん思うが
この先、どうな風に育っていくか分からねぇがお日様みてぇに組を照らしてくれるような存在でいて欲しいとも思うんだ」
「組を照らすか」
「あら!陽菜でいいと思いますよ」
「そう願ってつけたのだろうからのぅ
きっといい子に育ってくれるじゃろ」
名前も決まり色んな妖怪たちは奴良組に新しく誕生した子供たちをそれはそれは可愛がる。
赤子に突然泣かれて慌てる妖怪たちの姿を見かけると思わず若菜や鯉伴は苦笑してしまうのでした。


それから若菜1人で二人の子供を見るのは大変だからと若菜と協力して世話をするそれぞれの世話係を決めようということになり自分がと立候補する者もいた。
だがほとんどの妖怪たちは気持ちよく寝ていた陽菜やリクオを起こしてしまい二人にわんわん大泣きされてしまいショックを受け辞退するのでした。
なので結局泣かれずにすんでいるのは
6人。
陽菜担当は陽菜本人が大好きらしいお気に入りになったメンバーから決まった。
それは首無と黒田坊と毛倡妓に決まり、リクオの担当が氷麗と青田坊と河童に決まった。


まわりの妖怪たちに可愛がられ成長していく子供たち。
リクオはぬらりひょんが言ったように元気すぎてやんちゃばかりして妖怪たちにいたずらをしたりして喜び庭で妖怪たちと日々おいかけっこだ。

そして最近分かってきたが陽菜は少し体が弱く…よく風邪を引くことがありリクオのように庭を駆け回り妖怪たちにいたずらをして遊ぶような体力はあまりなく体調がいい時は縁側でぬらりひょんや幹部の木魚達磨など古株が茶を飲んでいるところにやってきては真似をするようにジュースを飲んだり絵本を持ってきては読んでと祖父の膝に座り読み聞かせをしてもらったり
母や毛倡妓など家事が得意な妖怪たちが洗濯をしていると一緒にやりたいらしく見よう見まねで干したりするがたまにうまくいかないと泣きそうに涙をためうるうるした目で毛倡妓に助けを求めている。
畳むのも手伝い小さな手で一生懸命やる。
終わると縁側で茶を飲むぬらりひょんたちのところにやってきてうとうとしてお昼寝してしまう。
可愛らしい寝顔にぬらりひょんや幹部たちやたまに鯉伴が和むのだった。
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