そして神は微笑んだ
□水に住む紅き花
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〜U〜
「あー…おーい…聞こえてるかー…?」
「…っうわ、ごめんっ! ちょっとトリップしてた!」
クーアの言葉に「ちょっとどころじゃない」と突っ込みを入れる。
その時のレンの顔には完全に苛立ちが浮かんでいた。自分だけが着いてい
けない話題の中、置いていかれたからだろう。言葉に棘が明らかに含まれて
いたら誰でも解るというものだ。
「昨日話さないで内緒にしていた事、洗いざらい話して貰おうか」
―言われると思った…。
クーアとクリスは見知らぬ地上人にばらしてしまっては危ないと感じてい
たのだが、レンの気迫に負け、話さざるを得ないムードになってしまう。
自分も昨日話してくれなかったじゃないか。
その思いでいっぱいだったが、口になど出しはしない。出した瞬間に消さ
れるかもしれないと思ってしまったからだ。
内心ダラダラと冷や汗をかきながら、一から話し始める。昨日話さなかっ
た事全て。
「…実は俺…神様の生まれ変わりらしくて…」
「ストップ。悪いが今のところもう一回」
レンの台詞どこかで聞いたことがあるなぁ、とクリスは感じていた。
クーアは忘れているようだが、この台詞は、自分が元神だと明かした時に
クーアが言った台詞と同じなのだ。
今クーアが一生懸命話そうとしている話題とはまったく関連性がないが、
時の過ぎるのは早い、としみじみ思ったりしていた。