そして神は微笑んだ

□過去と未来、囚われた歯車
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 クーアは少々驚きながら本をもう一度読み返した。
 リエルに読み聞かせたその本の題名は『エデンが生まれるまで』。エデン
というのは、この世界の名前だ。中にはその題名の通りの事が書かれている。
 世界をつくったのは誰か、世界にエデンと名づけたのはどうしてか、世界
にはどんな神がいたかなど、明らかにフィクションだろ、と突っ込みそうに
なる内容がビシバシと書かれている一冊だ。
 だがこの話は、本当にあった歴史書を基にして書いたものらしい。だから
まだ新しい神が決まっておらず、『世界』とやらが神の代わりしていると言
うのも本当なのだろう。信じたくないが。
 もしこの絵本の通りに、神の生まれ変わりになってしまった人がいたとす
れば、どんなに大変でも神なんて職業に就かなければいけないのだろうか。
まったく、迷惑な話だ。

「何でまたこんな事を、神って奴は思いついたんだろうな…。大体、本人が
やりたくないって言ったらどうするつもりだったんだか…」
「やー、だって面白そうじゃない。それに、やりたくないって言ったら無理
矢理にでもやらせるしぃ?」
「そんなアバウトな…。じゃあもし自分の生まれ変わりが、もーホントに嫌
で逃げちゃいましたーとか、自殺しちゃいましたーとかだったらどうすんだ
よ?」
「あぁ、その辺は大丈夫、大丈夫。僕だって神様なんだよー? 神様ルール
発動でその身体を支配する事だってできちゃうんだから。だから絶対に僕か
らは逃れる事なんてできないのさ♪」
「へー……それは大変…………って………あれ…?」

 独り言どころではない。
 完全に会話が成立している。
 この部屋には自分しかいなかったはずだ。
 メイドや執事を呼んだ覚えもない。
 では、この声の主は誰だ。
 クーアは読んでいた本をめくる動きを止め、恐る恐る後ろを向いた。後ろ
を向いたクーアの目線の先にいたのは……………

「お前……誰だ!? つか何で裸なんだ! 服を着ろ、服を!!」
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