神授国騒動記


□2話
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城に着いた瞬間、城内は騒然とした空気に包まれ、大勢の人々が姿を出迎えに姿を見せた。

主にいるのは軍関係者と思われる人間たちが主であることは無理はないが、中には何人か文官も混ざっているようだった。

「凄い数ですね・・・」

「ああ。まあ、仕方ないけどな」

そう言って溜息をついたバックスに首を傾げたマナは、ふとあることが思い浮かんだ。

「そういえば・・・王太子殿下もこちらにいらっしゃってるんでしょうか?」

「えっ・・・?」

「それにあの・・・私の事も説明して納得してくださるでしょうか?」

今までの会話からシェル達が明らかに王太子派であることは明白だし、今回の件のことも王太子の耳には当然入れなければならないだろう。

しかしここまで着いてきて今更だが、シェル達がいかに大丈夫と言おうとも、本当に王太子が他国の王を匿うなどというリスクを受け入れてくれるかマナには不安なのだ。

そんなマナの様子と言葉を聞き、それまで目を丸くしていたバックスは溜息をついて額を押さえた。

「あー・・・そうか。そういえば、肝心なこと言ってなかったか」

「はい?」

「あのな・・王太子は・・・」

バックスが何か言おうとした時、シェルが出迎えの人間達の前に姿を見せたことでそれまで騒然としていたその場の空気が一瞬で静まり返った。

「ご無事のご帰還心よりお喜び申し上げます」

続いて一斉に頭をたれて発せられたその言葉に、マナは目を見張って彼らがその言葉を向けている人物、シェルに視線を送っていた。

「お帰りなさいませ」

マナが疑問を抱える中、人々の合間から静かな声を持って1人の人物が現れた。

初老であるが美形だと思わせるその人物は、優雅な足取りでシェルの方に近づくと彼から5歩ほど手前で止まり1度頭を下げると再び上げた時意味ありげな笑みをシェルに向けていた。

その人物を表情は変えていないが、僅かに眉を寄せるシェルの気配に気づいたマナは、驚いたような表情でその2人を交互に見ていた。

「あの・・・あの方は?」

尋ねてふと横にいるバックスを見上げると、あからさまに嫌なものを見たという表情で初老の男性を睨みつけているバックスにマナは驚いて目を見張った。

「姫さん・・・あの男の顔、よーく覚えておけ」

「えっ・・・?」

「あれが俺達の敵の親玉。・・・宰相ウォルトゥス=インダイアだ・・・」

バックスのその言葉にマナは未だシェルに向かって笑みを浮かべているその人物に見張る目線を戻した。

しかし次にウォルトゥスが口にした言葉でマナは更に驚くことになる。
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