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□ディエス編
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風呂で身体を清めて、勿論その際に色々して、上がった時にはエレシュの姿は何時もと違っていた。
ようするにまた女の身体にさせられたのだ。
ディエスいわく、この方がこれからする事に都合が良いから、らしい。
正直なところエレシュは文句を言いたい。
しかしここで文句を言うと先の2人の事をむしかえされかねる恐れがないとも言えないので今回は大人しく従っておく事にした。
そのディエスの頭の中といえば、あの2人の存在は現在完全になかった。
ただ彼は楽しそうにエレシュの髪を弄っていた。
「レスの髪も何時もさらさらで触り心地が良いよな〜」
そんな事を言いながら髪を櫛で梳かしているディエスは非常に上機嫌だ。
ちなみに彼が「髪も」と言ったのは、他の誰かと比べているわけではなく、肌なども触り心地が良いと思っているためだ。
彼は風呂上がりなどでエレシュの髪を手入れするのがかなり好きだ。
基本エレシュに触れていればほぼ何でも好きな彼ではあるが、その為エレシュは殆ど髪の手入れを自分で行った事がない。
「今回はどんな髪型にしようかなぁ」
そしてこれがエレシュを今回女の姿にした理由である。
何時もの短い髪ではバリエーションも少ないし、あまり凝ったものにもできない。
その為エレシュが男の姿で髪を切った時は相当ショックだったらしい。
ディエスはかなり器用で、どんな何時もどんな髪型でも苦もなくエレシュに施していた。
そんな技術どうやって身につけたのかと聞いてみたい気もしたが、ディエスだからとエレシュは尋ねた事がない。
料理以外で基本的に自分にあらゆることを教えた親であり師でもあるのだ。
そんな事は聞くだけ無駄というモノだ。
ただ思うのは、やはり彼は色々な事が出来て凄いという事だけだった。
「陛下は本当に器用ですよね・・・」
ただぽつりとそんな言葉が漏れた。
「そうか・・・?」
「はい。凄いです」
素直な感想を告げると、ディエスが更に上機嫌になっていくのが良く解った。
「本当に可愛いな。レス」
嬉しくてたまらなくなってディエスはエレシュを抱き締めた。
首筋に顔を埋めてそこに口付を落とす。
「んっ・・・スイ様。髪・・・」
「もう、出来た」
ほらっと、顔を上げたディエスがエレシュの前に鏡を差し出した。
それを受け取って自分の方に向けて見ると確かに出来上がっていた。
正面から見ても綺麗に出来ていると解るが、更にディエスが後ろからかざした鏡の光景が目の前の鏡に映し出されたのを見て、ほぅっと感嘆の溜息をついた。
「本当に、凄いです・・・」
「そうか。でも何よりも素材が良いから、だろうな」
そう言ってギュッとエレシュを抱き締める腕にディエスは力を込める。
その素材が何の事かをすぐに理解して、エレシュは頬を朱に染めたのだった。
その素材がこれからどんな風になるかも想像しながら。