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□シヴァ編
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きょろきょろとあたりを見渡して、シヴァはある人物を探していた。
「おかしいな〜〜・・・」
どれだけ探し回っても目当ての人物の姿は見当たらない。
心当たりのある所は全て見て回ったがやはり何処にもいない。
「本当に何処行ったんだ?」
首を傾げて見てても答える者などいるはずがないのだが。
「あっ、隊長。こんな所で何しているんですか?」
答える者はいなくても、声をかけてくる者はいたようだ。
聞き覚えのある声に振りかえる。
ただ、それは探している人物とは違っていた。
「セケルか?どうしたんだ?」
「いや。どうかしたかてのは・・・こっちの台詞でなんですが」
シヴァは不思議そうに尋ねたが、セケルにしてみれば仮にも近衛隊士長であるシヴァの方が何故こんな所をうろうろしているのかが不思議っ立った。
しかも遠目に見ているとかなり怪しく見える。
しかしそれを言うと少々話が長くなりそうだったので、セケルは早々に用件を言う事にした。
「今、ちょっと『泉』の方で騒ぎが起きてるんですよ」
「騒ぎ?何かあったのか?」
「それは良く解らないのですが・・・」
「陛下かエレシュには言ったのか?」
「いえ、その・・・お2人ともいらっしゃらないようで」
視線を彷徨わせたセケルの言葉にシヴァは察した。
おそらく私室に引き籠ったのだろう。
それは、確かに。
邪魔をすれば何が起きるか解らない。
否、広い意味では解るのだが、考えるだけ恐ろしい。
そもそもエレシュはまだともかく、ディエスの方は騒ぎが起きた所で動こうとはしないだろう。
彼は何処までもエレシュに関わりがなければやる気も興味もないのだから。
セケルが自分を頼ってきてもしかたがないと思う。
「解った。とりあえず現場に行くか」
仕方がないと自分の要件は後回しにする事にした。
どうせ急ぐ用事でもないのだしと。
「助かります」
「ああ。そうだ」
『泉』に向かい2人揃って歩き出した所でシヴァは口を開いた。
確かに急ぐ用事でもないが、一応セケルにも訊いて見ても良いだろうと。
「ゲーテの奴が何処に行ったかしらないか?」
ずっと探していた人物の名前を上げて尋ねて見た。
しかしセケルは考え込むようなそぶりを見せた後、首を傾げて眉を寄せる。
「さあ。俺も見ていませんけど」
「そうか」
知らないのなら仕方がない。
それにこれから向かう『泉』は騒動が起きているのなら多くの死神達が集まっているはずだ。
そこにいる連中にも話を聞いて見れば良いだろうと、この時シヴァは簡単に考えていた。