神授国騒動記
□12話
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あの時から永い、永い時間が過ぎた。
自分が今までに生きてきた時間全ての中では寧ろ短いかもしれない。
しかし状況は時間の感覚を狂わせる。
あの時から現在までは、自分にとっては生きてきた中で最も永い時間に感じる。
それだけ離れているのが辛いということで。
それだけ離れている事に耐えられないということだ。
会えるものなら今すぐ会いたい。
会いたくて、会いたくて、会いたくて仕方がない。
産まれた時からずっと一緒にいたのに、ずっと一緒にいるはずだったのに、あの時から離れ離れになってしまった。
原因は解りきっている事だ。
あれは自分が悪いのだ。
どれだけあちらの誤解だとしても。
どれだけ一方的に決め付けられても。
弁解の余地さえ与えてもらえなかったにしても。
あれは自分が悪い。
ちゃんと伝えてこなかった自分が。
そして伝える機会さえ奪われて今に至る。
どれだけ伝えたくても近づく事もできなかった。
どれだけ渡したくてもずっと渡す事ができなかった。
その状況をどうにかしたいと思っても、それはどうあがいてもどうもにもできないことだった。
強く拒絶されれば自分はそこに行く事ができない。
あちらもこちらを拒絶する心がある以上、こちらに来る事もできない。
だから待つしかなかった。
いつか訪れる機会をじっと耐えて待つしかなかった。
そして漸く機会は訪れた。
この機会を逃せば、もう次はないだろう。
例え次があったとしても、これ以上はもう耐えられない。
これ以上離れてなどいたくない。
だから必ずこの機会に全てを終らせる。
否、ある意味では始めると言った方がいいのかもしれない。
何故なら自分は、肝心な言葉を1度も告げた事がないのだから。
その言葉を今度こそ必ず伝えてみせる。
これと共に。
どれだけ拒絶されたとしても、お前の本当の気持ちは解っているから。
お前の事は俺が誰よりも解っているはずだから。
必ず会いに行くから。
迎えに行くから。
また昔のように一緒にいよう。
昔よりもより良い形で。
アリス・・・・・