神授国騒動記


□序章
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四大国の中で北に位置する国・アイリシア王国。

水の女神アイリスを守神として祀るだけあり、この国は海と湖という水源豊かな美しい水の国だった。

この国の王は代々女神アイリスの影響もあり女王であり、女王は国の最高位の巫女も務め、魔術大国であるこの国の中でも代々その治癒魔術に関しては群を抜いて高い能力を誇っいた。

女神アイリスは治癒の力を持つ女神であるとされていることから、これによる代々の女王の国民からの支持は余計に高くなっており、国民たちから慕われていた。

しかし高い治癒魔術の素養を持っているからといって傷を負わなかったり病にかからないわけでは当然なく。

医術においても他国の先を行くこの国にも完全な治療法が確立していない病というものは存在していた。

女王マリ―シェンヌが患った病はなんの運命の悪戯かそういう類のものだった。

あらゆる手段を講じてみたが結局治療法は見つからず。

国民たちから慕われ続けた優しく聡明な女王は36歳という若さでこの世を去ってしまった。

そして新たに即位した女王は彼女の唯一の子供であった。

新女王の名はマティスフナ=アンフィ=アイリシア。

先代女王も若い即位であったが、その子はさらに若い歳での即位となった。

歳はたったの15歳。

歴代女王の中でももっとも若く早い即位に民は戸惑った。

しかもその姿は王女時代には決して民の前に姿を現さず、女王となった今も前王の急死による影響での忙しさから、その姿を垣間見るものは殆どいなかった。

それが即位当初は国民達に不安を与えていたのだった。

しかし姿は見せずとも、無理を押してでも必死に政務をこなし、国をよくしようという思いはしっかりと民に浸透していた。

また即位後国のあらゆる問題が急速的に解決していったこともあり、民は次第に新女王を信頼するようになり、僅か1年という短い時間にもかかわらず絶大な支持を受けるようになっていた。

それは先代女王も超え歴代女王の中でも最高の名君になるのではないかという声が高まっていた。

そんな新女王に悲劇が襲ったのは地方領地へ忍びの視察へと訪れていた時だった。
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