葬送歌人
□1:昼の話
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魂陵界『リヴウェイア』。
別名・死後の世界、あの世、冥府、黄泉、奈落、魂の郷里、転生の途路などとも呼ばれる世界。
生者の世界は数多に存在し、特異な例外によってこの魂陵界の管轄外となる世界を除き、その全ての世界で死んだ者達の魂は等しくこの魂陵界へと辿りつく。
辿りついた後は暫しの待ち時間の後に審判が降りて転生先の世界へと向かう。
そこで次にどんな人生を送ろうとも、必ずその魂は死ねば再びここに戻りまた転生を繰り返す。
いわばそこは魂の輪廻転生を管理する世界。
この魂陵界の定住民は大きく分けて2つ。
1つは魂陵界魂監査管理官などという長くご大層な呼び名を与えられている者たち。
あらゆる世界の者達が共通して口々に呼ぶその一般的な名は『死神』である。
彼らの人口はおおよそ100人弱。
この人数で常に彼らの数を遥かに凌ぐ魂の管理をそれぞれ分担して行っている。
そしてもう一方の定住民は1人。
しかしただ1人でも『死神』達にとって絶対的な存在として崇められているこの魂陵界の支配者にしてこの世界そのものといっていい人物。
それは『死魂王』と呼ばれる神の分類に入るであろう人物である。
夢でも彼に逆らおうと考えるおろかな『死神』など存在しない。
『死神』達は誰もが彼に忠誠を近い、敬服し、崇拝している。
反面、彼に対する幾つもの恐怖が当然の如く内部に存在しいているのもまた事実だからだ。
しかしそんな中、ただ1人だけ彼に逆らい真正面から意見できる『死神』がいる。
『死神』一の美貌と美声に加え、『死魂王』の手綱を唯一とれるほどの有能さを誇る彼は、『死魂王』の並々ならぬ寵愛を受ける彼のお気に入りであった。