献上品・宝物品

□雪見温泉
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それはある日、突然起こった事だった。

最初にそれに気づいたのは誰だったか・・・

ぎょっと目を見張って声をあげ、それがその場にいない他の死神にもあれよあれよという内に知れ渡り。

ついには毎日、毎日、仕事をサボりまくろうとする主君のせいで彼の執務室にほぼ缶詰状態のお馴染みのメンバーの耳にも入り。

その真偽を確かめるべく外に出た彼らはその光景にやはり目を見張った。

「な、なんだこれ!!?」

そう言って声を上げたのはツッコミ担当といって良いシヴァだった。

そう言った後から目の前の光景に呆然として微動だにしなくなってしまった。

ゲーテに関しては驚いているようだが、どこかその光景に嬉しそうに瞳をキラキラとさせている。

そしてエレシュはというと・・・・・

この光景を見て驚きはしたものの、すぐに頭の中を冷静にして思考をフル回転させ、自分の横で満足気に笑っている主君へと顔を向けた。

「・・・陛下。これは陛下の仕業ですね」

「そうだ。俺以外の誰にできるっていうんだ?」

そう言って自信満々に胸を張ってふんぞり返る主君に、エレシュは1度疲れたように溜息をついて口を開いた。

「どうりで・・・いつものように仕事になかなか手がつかないながらに、どこか何時もに比べ様子がおかしかったのこのせいですか」

「そうだ。一応これだけのことするとなると集中させないといけないからな。お前を構ってやりたいのを泣く泣く我慢してたんだ」

「俺を構うよりも仕事をしてください」

意気揚々と言ってのけるディエスにエレシュはまた溜息をついてきっぱりと告げた。

そしてもう1度ちらりと目の前の光景に目をやる。

「で、どういうことですか?」

「どうって?」

「・・・ですから、貴方が気まぐれでこの世界の色々なモノをどうこうするのは珍しくありませんが・・・」

そこまで言うとエレシュは三度目の溜息をつき、遠い目をしてぎゅっと拳を握り締め顔を引き攣らせた。

「なんで、あたり一面雪なんですか?そしてあの宿っぽい建物はなんなんですか?」
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