イベ短
□愛しき人の為ぞ
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『オロチ〜!!』
オロチ「なんだ?沙雪」
今日はバレンタインデー…!
でも本命って言って渡す勇気なんて私にはないから、普通に渡しちゃうんだけど…。
『これ…ガトーショコラ作ったの。よかったら食べてくれないかな?』
オロチ「私にくれるのか…?……ありがとう」
そっとリボンを解いて、ガトーショコラを取り出し、オロチは思いっきり口に含む。
頬をぱんぱんにさせてもぐもぐしてるオロチはまるでリスのようでクスッと笑いながら私は口の周りについたガトーショコラのカスをそっと取った。
オロチ「ぅっ!!…………っ……?………!?……」
突然オロチが苦虫を噛み潰したような顔になる。
『オロチ!?どうしたの…!??』
青い顔でしばらくしたあとに何とか飲み込み、オロチは言葉をなんとか吐き出す。
オロチ「……沙雪、中に何を入れた…………………?」
『えっ、極上まぐろだけど………』
オロチ「……………。」
『オロチ、喜んでくれるかなって………ガトーショコラに極上まぐろ入れちゃいけないの…?』
オロチは動きを止めてどうするか必死に考える。
オロチ「………たとえ上手くいかなかったものでも、私は沙雪の作ったものは全て食べきるぞ」
『オロチ………ごめんなさい…』
不味かったのだと悟った沙雪は落ち込んで帰ろうとする。
そんな沙雪に、オロチは後ろから抱き締めた。
オロチ「そんな沙雪が私は好きだから、別に落ち込まなくていいんだぞ」
『オロチ…………ありがと…』
帰り道、手を繋いで歩く二人がいたとかいなかったとか。
(来年は、もっとおいしいの作るからね?)
(あぁ、待ってるぞ)
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