短編@

□過去の全ては今に。
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マキモド石で過去に行った。


オロチの、人間だった頃に。
オロチに内緒で。


安易に見にいくものではなかった。
オロチが何を思いながら"今"を生きているのか。
オロチにどんな顔をして会えばいいかわからなかった。




オロチ「葉月、こんなところにいたのか」



いつもの顔が、悲しさを押し込めているように見えて私はついに泣き出してしまった。



オロチ「どうしたんだ…?今日は何か変だぞ、何があったんだ」


『私、最低なの。

オロチが、すっごい辛いことにあって、死んじゃって今ここにいるのに、
私オロチに会えたことが嬉しいの
喜んじゃ、いけないのにっ…!』



オロチは少しだけ目を見開いてしばらく黙っていた。
そして葉月の肩に手を置いた。



オロチ「葉月、泣かなくていい。私も葉月と会えて嬉しいんだ。葉月と会って、何でもない世界すら輝いて見える。
…………あの日がなければ葉月に会うことすら叶わなかった。」



だから私はそれでよかった。

その言葉を聞いて少しおさまった涙がまた溢れ出した。



オロチ「私の痛みさえまるで自分の痛みのように悲しんでくれる…
そんな葉月だから、私は好きになったんだ。………私は幸せだ」



涙の溢れる瞼にそっとオロチは口付ける。

葉月をそっと抱き寄せて、そっと背中を撫でた。
葉月はオロチの背中に手を回して抱きしめ返した。


そのまま、葉月の涙が乾くまで2人は静かに抱き合っていた。





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