黒の教団 食堂での一時

□嫉妬するあなた
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私が神田に怒られている様子を、襟首を掴まれたままラビが観察している。


「………ふーん…………そういう事さ……」


そうボソッと喋ったのが、とても冷たくて低い声だったので少し怖かった。
今まで聞いたことのない、初めて聞くラビの声だった。


しかし、すぐにいつものラビに戻る。


「ユウ!モヤシって誰さ?」


会話の流れが変わったので、神田もラビを離す。しかし眉間のシワが取れる事はなかった。


「チッ…………モヤシはモヤシだ」

「ユウ、ソレ説明になってないさ〜」

『ラビ、新しく入団したエクソシストの事だよ!』


神田が説明する気がないようので、代わりにラビに説明してあげる。


「あー、コムイが期待できそうな新人が入ったって言ってたけど、ソイツの事かぁ!」

『おー、アレンて期待の新人なんだ』

「ハッ!あんな甘っちょろい奴が、期待の新人かよ」


そう言うや神田はスタスタと食堂から出ていってしまった。
まぁ、犬猿の仲になってしまったアレンの話題だから、しょうがないのかな。



「何ナニ?ユウとその新人って何かあったの!?」

『ふふ……中々ヘビーな間柄だよ?』


食堂はみんなが集まるので、実はいざこざが一番起こりやすい。
神田とアレンの喧嘩も食堂で頻発している。

その時の様子を思い浮かべ、遠い目をしてラビに話す。



「なんか色々やらかしてるんさね!そんなに面倒なヤツ?」

『あ、いや、その子自体はすごくいい子だよ!英国紳士って感じかな。敬語でしっかり話すしね』


そう、アレン自体は本当にいい子なのだ。
なのに神田と一緒になると、なんでああも揉めるのだろうか?
何回考えてもサッパリ分からない。



「ふーん、ユウが嫌いなタイプなんかな」

『たぶんね。でもラビはその子と仲良くなると思うよ!』

「ひとみがそう言うなら、そうなるんかな〜!」


久々にラビと話すと、やっぱり楽しい。
ヘラヘラしていて誰に対しても本心を見せないなんて言われているけど、本心を見せない人は他にもたくさんいる。

それにこうやって周りを笑顔にしてくれるラビはスゴいと思う。


『ねぇラビ。もう少しで仕事終わるから、どこかでゆっくり話さない?』

「もっちろん、いいさ!じゃぁ談話室で待ってるさ」


そう言うとラビは私の頭をくしゃっと撫でて、いつもの明るい笑顔を見せる。
本当に神田とは対照的な人だ。


『うん、本でも読んで待っててね!』

「あぁ!」




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