黒の教団 食堂での一時

□本当は優しいあなた
2ページ/5ページ



話しながらひとみはテキパキとハーブを煮出す準備をする。
どうやらいくつかのハーブを組み合わせて作るようだ。

「オリジナルなの?」

『そうだよ!でも味はまぁまぁイケるよ』

リナリーに向かってウィンクをする。
こういうところはやっぱり、頼れるお姉さんなんだなーと思う。


『よし、出来たよ!ちなみに二日酔いの人ってどのくらいいる?』

「さっきざっと確認したけど、20人くらいは具合が悪いみたい!」

本当に何をやってるのかしらね!と付け足す。ひとみは苦笑しながら、そんなみんなのことをフォローした。

『仕方ないって!大変な仕事をやってる人ほど、お酒を飲むとハメを外す場合があるんだから!許してあげて?』

ね?と優しく言われる。
私はまだお酒がどんなものか分からないけど、そういうモノなのかしら?

ひとみが笑いながら頭を撫でる。

『リナリーも大人になったら、分かるわよ!』

「そうなのかな……」

やっぱりひとみから見たら、私はまだまだ子供なんだなと思ってしまう。
早くこんな素敵な女性になりたいと、心から思う。

『じゃぁ、ちょっと多めに作っておいたから、辛そうな人には多めに飲ませてあげてね!』

「ええ、わかったわ!ありがとう」

『どうしたしまして!じゃぁ私は食堂に戻るわね』

ひとみは手を振って、科学班を出る。

「うぅー、リナリー……ひとみちゃんがいたの……?」

「そうよ。兄さん達の為に、二日酔いに効くハーブティーを淹れてくれたわ!」

そう言いながら、カップに淹れたてのハーブティーを入れていく。ふんわりといい香りが鼻をくすぐる。
自分の兄を始めとした、二日酔いでダウンしている人達に配っていく。



すると科学班の扉が開いた。

「あ、リナリー、おはようございます!」

「おはよー、アレン君!」

「あれ?今日はコーヒーじゃなく、紅茶なんですね!」

アレンが配られたカップを覗く。
もちろん香りも全然違うので、それで気づいたのだろう。

「そうなのよ。さっきまでひとみが来てくれて、ハーブティーを淹れてくれたの」

「これ、ハーブティーなんですか!」

「二日酔いに効くんですって!」

あぁ、なるほど!とアレン君が納得する。

「リナリー。僕も1杯もらってもいいですか?」

「えぇ、いいわよ。じゃぁ私も飲もうかな」


そうして、科学班でティーパーティーが始まったのだった。




.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ