黒の教団 食堂での一時
□本当は優しいあなた
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話しながらひとみはテキパキとハーブを煮出す準備をする。
どうやらいくつかのハーブを組み合わせて作るようだ。
「オリジナルなの?」
『そうだよ!でも味はまぁまぁイケるよ』
リナリーに向かってウィンクをする。
こういうところはやっぱり、頼れるお姉さんなんだなーと思う。
『よし、出来たよ!ちなみに二日酔いの人ってどのくらいいる?』
「さっきざっと確認したけど、20人くらいは具合が悪いみたい!」
本当に何をやってるのかしらね!と付け足す。ひとみは苦笑しながら、そんなみんなのことをフォローした。
『仕方ないって!大変な仕事をやってる人ほど、お酒を飲むとハメを外す場合があるんだから!許してあげて?』
ね?と優しく言われる。
私はまだお酒がどんなものか分からないけど、そういうモノなのかしら?
ひとみが笑いながら頭を撫でる。
『リナリーも大人になったら、分かるわよ!』
「そうなのかな……」
やっぱりひとみから見たら、私はまだまだ子供なんだなと思ってしまう。
早くこんな素敵な女性になりたいと、心から思う。
『じゃぁ、ちょっと多めに作っておいたから、辛そうな人には多めに飲ませてあげてね!』
「ええ、わかったわ!ありがとう」
『どうしたしまして!じゃぁ私は食堂に戻るわね』
ひとみは手を振って、科学班を出る。
「うぅー、リナリー……ひとみちゃんがいたの……?」
「そうよ。兄さん達の為に、二日酔いに効くハーブティーを淹れてくれたわ!」
そう言いながら、カップに淹れたてのハーブティーを入れていく。ふんわりといい香りが鼻をくすぐる。
自分の兄を始めとした、二日酔いでダウンしている人達に配っていく。
すると科学班の扉が開いた。
「あ、リナリー、おはようございます!」
「おはよー、アレン君!」
「あれ?今日はコーヒーじゃなく、紅茶なんですね!」
アレンが配られたカップを覗く。
もちろん香りも全然違うので、それで気づいたのだろう。
「そうなのよ。さっきまでひとみが来てくれて、ハーブティーを淹れてくれたの」
「これ、ハーブティーなんですか!」
「二日酔いに効くんですって!」
あぁ、なるほど!とアレン君が納得する。
「リナリー。僕も1杯もらってもいいですか?」
「えぇ、いいわよ。じゃぁ私も飲もうかな」
そうして、科学班でティーパーティーが始まったのだった。
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