黒の教団 食堂での一時
□信頼してくれるあなた
2ページ/5ページ
しばらくすると、聞き馴染みのある声がひとみを呼んだ。
「よーっす、ひとみ!昨日はバタバタしててすまんな」
『こんにちは、リーバー班長!私こそ忙しい時にお邪魔してすみませんでした』
挨拶もそこそこに昨日の事をお互い詫びる。そして自然と、新人エクソシストの話をし出した。
『昨日入団されたエクソシストの子はどうですか?』
「あぁ、アレンの事な。なかなか見所あると俺は思ってるよ!ただ、神田とすでに仲が悪くなったみたいなんだよなぁ……」
ジェリーから聞いた通りだ。やっぱり仲が悪くなっちゃったんだ……
神田は誰とも相性は良くないらしいから、しょうがないと言えばしょうがない。
でもみんなの仲が良いに越した事はないと思う。
『もう少し神田の愛想が良ければ違うんでしょうね〜』
「あのな、ひとみ。愛想の良い神田なんて気持ち悪くないか?」
『………大変失礼しました』
想像してみたが、別の生き物だった。
やっぱり神田は神田のままでいいみたいだ。
『あ、そのアレンさんでしたっけ?今日はどちらにいらっしゃるんですか??ぜひお話してみたいです』
リーバーにアレンの所在を聞いてみるが、返ってきたのは残念な答えだった。
「しばらくは無理だな。ついさっき神田と一緒に任務に就いてもらったからな〜」
『えっ?もう任務に行ったんですか!?』
衝撃だった。
普通適合者と分かったとしても、シンクロ率を上げたり、基本的な戦闘訓練を受けたりなど、やる事がたくさんあるのだ。
そして指導する元帥がOKを出さないと、実働にはならないハズなのだ。
ビックリして目を丸くしていると、リーバーが補足してくれた。
「アレンはクロス元帥の弟子で、ある程度の戦闘訓練はすでに受けてるんだよ。レベル1のAKUMAなら、まったく問題ないそうだ」
『な、なるほど。すごい子だったんですね!即戦力が増えてよかったですね!』
まぁな、と深い隈が刻まれた目をこする。やっぱり科学班って大変そうだなぁとしみじみ思ってしまう。
そこへ室長の手伝いをしていたリナリーがやってきた。
「こんにちは、ひとみ。Aセットもらえるかしら?」
『こんにちは、リナリー。Aセットね!あ、リーバー班長、Cセット出来ましたよ!』
「サンキューな」
リーバーはそのままテーブルの方へフラフラと足を運んでいった。
『リーバー班長もお疲れだね』
「科学班全体がね。兄さんもさっきまで机で居眠りしてたのよ!過去の映像を見るのに徹夜したらしくて……」
『過去の映像??』
教団の監視カメラの映像などだろうか?リナリーの言葉に疑問を持つ。
するとリナリーが口を開いた。
「うん。昨日入団した、アレン君の過去の映像みたいよ!クロス元帥と修行してたところとかを見てたみたいなの」
『へ〜そうなんだ!でもそんなのどうやって撮ってたの?』
「アレン君が連れてきた、クロス元帥のゴーレムの機能よ。ティムキャンピーって言って、金のゴーレムなの!」
金のゴーレム……エクソシストが普段使っているのは、コウモリみたいに黒いゴーレムのハズだ。なんか色々と規格外の特別なエクソシストみたい……
『金色のゴーレムなんだぁ!見てみたいなぁ』
「アレン君が帰ってきたら、見せてもらうといいよ!私からも言っておくわね」
リナリーがウィンクしながら、アレン君にお願いしてくれると言う。
リナリーってばなんて良い子なんでしょうか!
『ありがとう、リナリー!はい、Aセットもできたよ!』
「ありがとう、ひとみ。じゃぁまたね!」
お互い手を振る。リナリーはリーバーが座っている席に行くようだ。
さて、私も仕事を頑張るかと気合いを入れ直し、仕事に戻った。
.