黒の教団 食堂での一時
□美髪が自慢のあなた
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「お、ユーウー!どしたんさ?髪の毛下ろしたままなんて珍しいさ〜!」
「うるせーんだよ、馬鹿ウサギ。あとファーストネームで呼ぶな!」
ガヤガヤした食堂の一角で、いつも通りラビが神田に話しかける。
ただ会話の内容はやはり、神田の下ろされた髪の毛についてだった。
「いつも食事の時は結ってるのにな。そんなに長いと食べる時に邪魔じゃないさ?」
「別に」
すると神田とラビが食事をしている席に人が集まってきた。
言わずとしれたエクソシストの仲間達である。
「ラビ、神田!一緒してもいい?」
「お、リナリー!もっちろんさ〜」
神田は鬱陶しそうに、蕎麦を食べ続ける。
「後ろから見ると一瞬誰だか分からないじゃん。神田の髪は長いし、女に見えるじゃん!」
「………切られてぇのか、デイシャ」
ジロリと睨みを利かせ、相手を黙らせる。
デイシャもヤバイと思ったのか、大人しくそのまま席に座った。
しかし他の3人より先に食べ始めていたので、神田はすでに食べ終わっていたようだ。
無言で空いたトレーを持ってそのまま席を離れてしまった。
「あっちゃー。機嫌悪くしちゃったさ?」
「神田は元々あんな感じじゃないかしら?」
などと残った3人でそんな風に話していたところ、後ろから声をかけられた。
『あれ?神田は?』
「おー、ひとみー!今日も相変わらず可愛いさ〜!」
ラビがいつも通りの口説き文句を言うが、ひとみはさらっと流す。
『はいはい、ありがとー。それにさっきも注文口で会ったでしょ。ところでさっきまで、神田一緒じゃなかったっけ?』
「神田ならもう食べ終わって、行っちゃったわよ」
「ひとみひどいさー。俺よりユウなんさ〜?」
「神田がいいなんて、意外じゃん?」
なんだかリナリー以外の男二人が、若干ずれた会話をしている。ひとみはため息をつくとリナリーのみに話しかける。
『入れ違いになっちゃったかぁ。リナリー、どこに行ったか分かる?』
「たぶん鍛練にいったんじゃないかな?神田に何か用?」
『うん、まぁね〜』
ひとみは内容は話さず、ありがとー!と手を振って食堂を出ていった。
残された3人は顔を見合わせている。
「やだ、ひとみってば!本当に神田の事気になってるのかしら?」
「俺、めっさショック……マイスウィートハニーがユウに毒されてるなんて!」
「あ〜ぁ、ラビ失恋決定じゃーん?」
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