Fallen Angel ―堕天使―
□第8話
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ジェシーの依頼自体はとても簡単だった。
寝ている父親の部屋に忍び込んで、神羅カンパニー社員証を見つける事。
防護服の胸ポケットに入っているのを失敬し、すぐに部屋を後にした。他にもジェシーの昔の写真やら手紙やらを見てしまったが……それは俺の胸にしまっておこう。
外に出ると側には猫と共にシェリーが座っている。どうやら大人しく待っていたようだ。
「行くぞ」
『うん』
シェリーは隣に座っている三毛猫を抱え、一緒に玄関の方へと向かう。俺は玄関の塀に背中を預け、ジェシーたちが出てくるのを待つ。シェリーは抱えていた三毛猫を地面に下ろし、頭を撫でていた。
「…………悪い」
『え、何?』
「いや……気にするな」
『??』
シェリーはなぜ俺が謝ったのか分からないといった顔をしている。
これは俺の中でずっと思っていた事だ。俺に合わせて決起会にも、ジェシーの母親が振る舞う夕飯にも参加していない。彼女が勝手にした事ではあるが、やはり少しばかり気になっていたのだ。
それは彼女がアバランチの皆と一緒にいたい、という気持ちを知っているからなのかもしれない。
『クラウド、変』
「……そうだな、確かに変かもな」
自分でもそう思う。
普段の俺ならわざわざ謝ったりなんてしない。相手が勝手に決めたならそれは相手の責任。俺には関係ない、そう思っている。
でも、何故だろう……シェリーに関しては謝っておきたい、そう思ったんだ。
「皆と食事が出来なくて、悪かったな」
『……あぁ!なら、責任、取る』
「責任?」
『今度、一緒にご飯、食べる!』
またしても笑顔でそう返してくる。
俺にその笑顔は眩しすぎて…真正面から受け止められず、顔を少し反らしてしまった。
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