Fallen Angel ―堕天使―

□第8話
2ページ/5ページ



にゃぁ みゃあみゃあ
『にゃあ〜』

目の前の塀を猫たちが悠然と歩いていく。それを見たシェリーが嬉しそうにまた鳴き真似をしている。
まったく緊張感のない奴だ。そう思いながら何となくシェリーの事を見つめていた。


「そう言えば、何で服を変えたんだ?」
『服?』


駅で合流した時から気になっていた、その全身黒づくめの服装。その事を聞くとシェリーは自分の服をじっと見つめながら、口を開いた。


『盗む、いつも』
「……?どういう事だ?」
『あー……えっと……バレない、から』
「あぁ……そういう事か」


つまり、盗みに入る時はバレにくい服装に着替えてる、という事か。確かに黒のキャップが効いていて、よく観察しないと誰かは分からないな。

『盗む、仕事』

……さっきジェシーが「得意分野」と言っていたが、そういう事か?壱番魔晄炉の火薬についても自分が盗んだと言っていたし、ティファはシェリーの事を「物資調達」をメインにサポートしてくれていると言っていた。
つまり盗んで調達するのがシェリーの仕事、という事か。


そこまで考えたところで、裏手の灯りが灯る。ジェシーからの合図だ。


「あんたはここで待ってろ」
『えー?クラウド、一緒』
「ダメだ。猫と遊んでろ」


さすがに忍び込むのにシェリーまで一緒だと動きにくくなってしまう。いくらジェシーたちが母親を引き付けていると言っても、二人だとその分バレやすくなる。


『………分かった』
「すぐ戻る」

そう言い残し、俺は裏口の扉に手をかけた。




.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ