Fallen Angel ―堕天使―

□第3話
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「粗方片付いたかな?」
「あぁ、そうだな」


周りをぐるっと見回すが、モンスターの気配はもうしなかった。また出てきてしまうだろうが、取り敢えず目につくところにいた奴らは退治できたようだ。


『仕事、終わり?』
「うん、終わったよ。ビッグスに報告しに行こう」
『行こう行こう!』


シェリーは鞭をクルクルっと巻き、腰に付いているホルダーへとしまう。

その姿を見ながら先程の戦闘を思い出す。あの身のこなし、鞭の扱い、純粋な力、全てがあの細身の体から繰り出されたとは思えない程だ。

シェリーに聞いてみたい気持ちが出てくるが、昨日ティファに聞いた時にもいい顔をされなかったし、今は止めておこう。
一緒に戦っていて、とても戦い易い。それだけでいいか……と好奇心に蓋をした。



ビッグス達がいる初心者の館へと戻ると、あまりにも早かったのかだいぶ驚かれた。シェリーとティファがいたからここまで早く片付いたのは言うまでもない。それでも俺の何でも屋としての功績にしてくれたのは、とてもありがたい事だ。

ウェッジも俺の宣伝をしてくれたようで(何て言って広めたのかは気になるが)、これで色んな仕事が出来るようになれば生活も安定するというものだ。



「さて、そろそろお仕事始めよう。まずはワイマーさんのところに行ってみない?」
「誰だ?」
「自警団にくる依頼をまとめてる人。何でも屋の仕事が見つかるかも」
「どこにいる」
「そろそろ詰所に戻ってきてると思う」


再びティファの案内で自警団の詰所に向かおうとすると、シェリーが付いてきた。

「あんたも来るのか?」
『うん。クラウド、いる、面白い』
「そうか」


……何か面白い事があっただろうか?
外に設置された梯子を降りながら考えてみるが、モンスターを倒した以外何もなかった。
という事は戦う事自体が面白かった、という事か?

考えている間に詰所へと到着し、ティファに『何でも屋』として紹介してもらう。危険な仕事も受ける事を伝えれば、ワイマーはすぐ隣にいるチャドリーという少年を紹介してくれた。
チャドリーから渡された『みやぶる』のマテリアを見つつ、シェリーは眉を下げている。


『マテリア……』
「そういえばシェリーはマテリアは付けないのか?その鞭の取っ手に取り付けの穴があるだろう」
『魔法、苦手……』


マテリアを装備すれば確かに魔法は使えるが、それには高い集中力が必要だ。つまりそれが苦手なのだろう。




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