ひらりと翻り
□第九夜 ブックマン
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『……イノセンス、発動!!』
左耳のピアスが光輝き、扇へと形を変える。私を守るように、桜の花びらが無数に舞う。
扇を開き、そのままカマイタチを巻き起こす。
『桜花、旋風!!』
周りにある木々がざわめき、木の葉が舞い上がる。カマイタチが起こる為、木の葉は細かく刻まれていた。
「なかなか発動がスムーズになってきたね」
『ふーー……』
長く発動していると体力が奪われる為、発動を止める。
「もっと定期的に発動するように。そうすれば、シンクロ率が上がってもっと長く発動できるし、イノセンスの力をより解放出来る」
『はい、分かりました!』
すると、後ろの方からパチパチと手を叩く音が聞こえた。
「なかなか豪快なイノセンスさ!」
『ラビ!』
修行の様子を見に来たのか、近くの木に背を預けながら、ラビが立っていた。
まだまだちょびっと解放できるようななっただけなのに、ラビが褒めてくれたのは素直に嬉しい。
「お、ちょうどいい!ちょっと河野くんの相手をしてくれないか?」
『え!師匠?』
いやいや、いきなり相手になれなんて!意外とティエドール元帥って無茶を言うんだから……
それなのに、ラビってば笑顔で応じてくれた。
「いいさ!仁美の修行の相手、してやるさ」
『………いいの?』
「おう!」
まさか、ラビが相手をしてくれるなんて……
しかもラビのイノセンスが、どんな物か見たことがないので分からない。
かなり豪快で、建物をよく壊すとリナリーから聞いた事はある。
まずはイノセンスを発動をして、扇を構える。
ラビは右足のホルダーに収まっている、小さな鎚を取り出した。
あれが、ラビのイノセンスなのだろうか……?
「よっしゃ!仁美、驚くなよ!」
『!……うん!』
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