ひらりと翻り

□第六夜 年齢
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すると建物の屋根の上の方から、ユウの声が聞こえる。どうやら一幻を放ったようだ。
蟲たちがボール型AKUMAを倒していく。



少しレベル2の周りのAKUMAが減ったので、自分も一気に斬り込む。




「劫火灰塵!火判!!」




辺りを炎が包む。
レベル1のボール型AKUMAはあっという間に消え、レベル2も炎に悶えている。


すると建物の屋根から黒い影が飛び降りるのが見える。日本刀が振り下ろされ、AKUMAを真っ二つにした。




「ユウ!さっすが〜!」

「ファーストネームで呼ぶなっ」



はぁー、ようやく片がついた。さすがに疲れたので、その場で寝転ぶ。



「あ〜、疲れたさ!暖かい布団で寝たいさ〜!」

「なら事後処理はファインダーに任せて、さっさと戻るぞ」



ユウにさっさと行動するように促されたので、渋々上半身だけ起こす。

ふと、最近入団したばかりの女性の顔が浮かんできた。



「仁美……ちゃんとやれてっかな〜……」

「………」



彼女はこの時代の人ではない。150年以上未来から来たという女性だ。
何もかもが不便で大変な思いをしているのではないだろうか……


柄にもなくそんな心配をしてしまう。
するとユウが口を開いた。



「アイツもいい大人だろ」

「まぁ、そーなんだけど……」



ユウは事情を知らない。もちろん言うワケにもいかない。

するとため息を付きながら、まさかの助言をされた。



「そんなに心配なら、なおさらさっさと戻れ」


思わずきょとんとしてしまった。
ユウがそんなことを言うなんて、かなり貴重だ。
でもまぁ確かに仰る通りだ。さっさと戻って、大丈夫かどうか確認すればいいのだから。


「ははっそれもそうさね!」


思わず笑顔が出た。ユウの言う通り、事後処理はファインダーに任せてすぐに帰還することにしよう。



「………」



その様子を神田が見つめていたことに、ラビは気づかないのだった。





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