ひらりと翻り

□第三夜 初めまして
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「仁美?起きてるさ?」

『! うん、起きてるよ』


ラビさんが迎えに来てくれたようだ。
今日は朝から、少し忙しい。


正式に入団の手続きをした後、体に不調がないかの精密検査をしなければならないらしい。


「お、もう着替えてたんさな。ところで仁美、そのスーツが普段着なんさ?」


私が着替えたのは、仕事の時に着ていたベージュのスーツ。
病室にいる間は病院着だったので、唯一私が持ってきていた私服だ。



『ううん、これは仕事着だよ。仕事帰りに襲われたから……』

「あ、そっか……」


わりぃと一言謝る。ラビさんって本当に優しい男の子なんだなと思う。



部屋を出て、まずはコムイ室長のいる科学班へ行くと言う。


『ラビさんに案内なんて任せちゃって、ごめんね?』

「なーに言ってるんさ!オレと仁美の仲さ?」


そう言ってニコッと笑ってくれる。この笑顔には本当に救われる。


それに私のことを知っている数少ない人の一人。それだけでとても気が楽になる。


「ところで仁美。さん付けはいい加減止めてほしいさ!なんかむず痒い」

『そう?』

「そっ!みんなラビって呼び捨てだしな」


それならみんなと同じように呼び捨てにしようかな、と思う。その方が喜んでくれるみたいだしね。




すると通路の反対側から、男の人が歩いて来るのが見えた。ラビと同じようにスラッとした人だ。
ラビがその人に向かって手を振りながら声をかける。





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