上級生の学年対抗実習!

□五年生の集会
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久々知兵助・回想


「土井先生!この新しく調合した火薬は、一番奥の棚に保管しておきますね」
「あぁ!それで頼む」


今日は久しぶりに土井先生が最初から委員会活動に参加中。何でも、一年は組の補習の準備やら採点やらがようやく一段落したとの事。いつもいつも補習に追われていて、土井先生の胃はギリギリの綱渡り状態だ。
本当にお疲れ様です。


「斉藤もだいぶ慣れたみたいだな!」
「はい、兵助くん達が丁寧に教えてくれてるんですよ〜」
「そうかそうか!久々知には委員会を任せっきりにしているが、本当に助かるよ!」
「そんな事はないですよ。それにタカ丸さんに教えているのは、三郎次や伊助もですから」


何故か俺一人が褒められ、むず痒い気持ちになってくる。チラッと下級生の方を見ながら、自分一人の功績ではない事をアピールした。すると伊助は頭に手をやりながら、いや〜っと照れており、三郎次はつんとしながらも耳の辺りを赤くしていた。


「それでも兵助くんのおかげで僕は助かってるよ〜」
「え?そ、そうですか?」


タカ丸さんを見れば、いつもと変わらないニコニコとした笑顔。でも何だろう……?今日は何か違和感を感じるのだ。

俺に気づかれないようにチラチラと様子を見たり、土井先生と話しながらも何かにつけて俺に話を振ったり。これは意図してやってるようだ。そして土井先生が何も気づかない振りをしているような気がする。


もしや学年対抗の課題か……?と、考え込んでしまったようだ。


「……?兵助くん疲れた?それとも具合悪いの?」
「あ、いや……」
「もし調子が悪いなら蔵の外で休んでていいよ〜?今日は土井先生もいらっしゃるんだし」


チラッと見ると、タカ丸さんは本当に心配そうに俺の様子を見ていた。

まったく……その優しさは忍を目指す上では甘さになってしまいますよ?でもそんな甘さも含めて、そこがタカ丸さんのいいところですね。
クスッと兵助は笑みを浮かべながら、年上の後輩を見つめる。


「心配には及びません。委員会活動を続けましょう」
「そう?それならいいんだけど……」


そしてその日の委員会活動は続いていくのだった。
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