上級生の学年対抗実習!

□見える行動、見えない行動
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鉢屋三郎視点


上級生対象の実習が始まって四日目。
そろそろ目立った動きが出てきてもいい頃合いのはずなのだが……
学園内にある大きめの木の枝に座りながら、うーん……と考え込んでいた。


四年生に関しては、やはり動きが読みやすい。火薬委員会の兵助が、タカ丸さんの行動が少し不自然だったと報告してきている。

それに課題が発表された当日、綾部が女装しているのをチラッと見かけていた。他の四年生は女装をしていなかったし、アイツが何の目的もなく面倒な女装をするはずがない。という事は課題に向けての行動だったのだろう。そしてアイツの所属している作法委員会の委員長は女装が得意な人だ。

詳しい内容はこれからだが、四年生の課題は所属している委員会が関係しているのかもしれないな。




……しかし、問題なのは六年生だ。
ちょっと近くで気配を感じる事はあるが、うんともすんとも言わない。それはもう、不気味なくらい何もないのだ。


「(四年生はちょこちょこ行動を起こしてるのに、なんで六年生は行動しないんだ?)」


プロ忍に一番近いと言われ、特に今の六年生の行動力たるや先生方も頼りにしている程だ。
それが一人も動いていないってのは、何なのだろう……?今は動かない方がいいからとか?


「うーーん……分からんっ!」
「三郎!心の声が漏れてんぞー!」
「うん?なんだハチか」


三郎が座っている木の下にいるのは、同じろ組の八左ヱ門だ。彼らはどちらかというと全体の様子を見る役目なので、課題について話す機会が多いのだ。

木の枝からピョンと飛び降りて、ハチの元へと移動する。


「何かあったか?」
「おい、三郎!矢羽音……」
「平気さ。六年はみんな忍務でドクササコ城へ行ってるし、四年は裏山の川で仕掛け罠の実習中だ」
「おほー、そっか」


それでも下級生に聞かれたらそれが他の学年に伝わってしまうかもしれない。
ぐるりと周りの気配を探って、本当に誰もいない事を確認してから、ハチは話始めた。


「実はさっき生物委員会の活動中に……」






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