上級生の学年対抗実習!

□始まりの日 五年生の場合
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「兵助、勘右衛門!おはよー」
「……雷蔵?あれ?なんでろ組がここにいるのだ?」


いつも通りの朝の教室に、普段は違う教室にいるはずのメンバーがそこにはいた。
五年い組の教室に、ろ組の三名も集まってきていたのだ。


「うーっす。俺らも木下先生にい組の教室に行けって言われたんだよ!」
「ふーん……わざわざ五年生を集めるなんて、何かあるのかな?」
「………嫌な予感がするな……」
「もう、三郎ってば。そんな事言うと、本当に嫌な事が降りかかるものだよ?」


八左ヱ門、勘右衛門、三郎、雷蔵がそれぞれに口を開く。
兵助は口元に手をやりながら、今回みんなが集められた理由を一人静かに考えていた。


「ま、面倒な事とかは今に始まった事じゃないし!先生の説明を待とうよ!」


兵助の肩をポンポンと叩きながら、勘右衛門はニカッと笑顔を見せる。兵助は真面目ゆえ固く考え込む癖があるが、この勘右衛門はあくまで自分のペースを保ちながらも周りの様子に気を配っている。さすがは学級委員長というところだ。

勘右衛門の笑顔につられ、兵助もそれもそうだと少しだけ笑顔を見せる。



そんない組の様子を微笑ましく眺めながらも、ろ組の三人は今回の召集について意見を述べていた。


「ただの実習ならそれぞれの組で知らせるだろ?わざわざ五年生を集めたって事は、学園全体で何かあるんじゃないか?」
「それなら、それこそ朝礼で全校生徒の前で発表をするだろうが」
「あ、そっか……」
「うーん……僕たち五年生だけでやる実習とか?」
「まぁ、そう考えるのが一番妥当か……」


結局はそこまでしか分からず、先生の到着を待つばかりとなってしまう。





するとタイミングを図ったように教室の扉がガラッと開き、木下先生が中へと入ってくる。
みんな、慌てて席に着席をすると、背筋を正して真剣な顔つきへと変わっていく。
そんな様子を一瞥した後、木下先生はおもむろに口を開いたのだった。




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